踏切オーディション、毎週ショートショートnote、410字
高校三年の冬休みだった。私は推薦入試で大学進学が決まっていた。
だからといって、喜べない。みんな、これからが受験本番だった。そんな時に見つけたのが、この神社の巫女募集だった。
面接当日。この神社は参道を線路が横切っていた。踏切の警報が鳴り始め、遮断機が降り始めた。私は慌てず立ち止まる。
神社で働けば、みんなの合格を願う気持ちも聞いてもらえるのではないだろうかと考えていた。
通り過ぎる電車の乗客と目が合った。その人は老人で、ただ、とても尊い方だと思った。
なぜか、神だと思い、頭を下げた。お願い事はしなかった。
面接では、神主は質問もせずに採用を告げた。
「理由をお聞きしてもよろしいですか」
神主は笑った。
「警報が鳴り始めた時、あなたは走りませんでした。あの電車には面接官として神様が乗っていたのです。神より自分を優先する人はダメです。そして、神を見た時、願い事をしなかった。写真を撮らなかった。試そうとしなかった。だから採用です」
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島根県出雲市には、参道に踏み切りがある神社があります。『粟津稲生神社(あわづいなりじんじゃ)』。
全国でも20社しかない「稲生(いなり)」と書く大変珍しい神社だそうです。↓リンクを貼っておきます。
出雲にお越しの際は、ぜひ!
なお、この記事の中で、おきつね様の尻尾の形の意味がわからぬようですが、これは宝珠を形どったものですね。
「宝珠(ほうじゅ/如意宝珠)」とは、仏教において「意のままに願いを叶え、富や幸運をもたらす」とされる神秘的な珠(たま)のことです。その形は、一般的な丸い球体ではなく、「下半分がふっくらと丸く、上に向かって先がキュッと尖ったタマネギや栗のような形」をしています。
空海とゆかりのある密教系のお稲荷さんでは、狐の尻尾全体が、この「先が尖ってふっくらとした宝珠の形」や、炎をまとった「火焔宝珠」の形にデフォルメして彫られます。

