見出し画像

左右研究、毎週ショートショートnote



古代の石碑には、いつも謎めいた言葉が刻まれていた。

王族は右足から、民は左足から。

千年の昔、繁栄を誇った大王国が突如滅び、その理由がこの言葉にあるとされてきた。だが、右足と左足が何を意味するのか、長らく誰も解き明かせなかった。

学者である私は、生涯をこの左右研究に費やした。古文書をひもとき、各地の遺跡を巡り、土器や壁画を検証した。

王族と庶民は明確に区別されていた。王の家系を象徴する右足。民衆を束ねる左足。だが、軍事上の陣形でもなければ、宗教儀式の決まり事でもなかった。

ある日、私は王族の住居跡から小さな木製の箱を発見した。蓋には右からという文字。そして別の民家跡からは左からと刻まれた同じ箱が見つかった。中に入っていたのは、布の切れ端だった。

調査を重ね、ついに真相に行き着いた。古文書にこうあった。

ある日、家臣のひとりが自分と同じ所作をしているのを見て、烈火のごとく王は怒った。王族と庶民を隔てる絶対的な違いを設けねばならぬ、と。

王族は右足から、庶民は左足から。

伝説に語られた正体は、パンツを履くとき
どちらの足から通すかだった。

庶民が全員左足から履くようになった結果、左足派の結束が強まり「我らは多数派だ」と革命が起き、王族は滅ぼされたのだった。

いいなと思ったら応援しよう!