見出し画像

東京の公金運用は、次の段階へ

「守る財政」から「育てて還元する財政」へ

今朝の日本経済新聞に、東京都の公金運用に関する大きな記事が掲載されました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC094J50Z00C26A6000000/
記事によれば、東京都の公金運用収入は2025年度に約300億円となりました。
東京都会計管理局が公表している公金管理実績ダッシュボードを見ると、平均残高は約6兆800億円、運用利回りは0.494%です。

公金管理実績ダッシュボード 右の列の運用収入に300億円が表示(詳しくは下記のリンクへ)

0.494%という数字だけを見れば、決して高い利回りには見えないかもしれません。
しかし、約6兆円という規模の資金を運用している東京都にとっては、300億円という大きな収入になります。
前年度の運用収入は約74億円でした。わずか1年で4倍を超える水準に達したことになります。私はこの数字を見て、「東京には、まだ活かし切れていない力がある」と改めて感じました。
さらに記事では、東京都が今後、

  • 特定目的基金の一括運用

  • 債券比率を35%から43%へ引き上げ

  • 4〜5年債の活用拡大

などを進める方針も紹介されています。一見すると地味な話かもしれません。しかし私は、これは東京都の財政運営における重要な転換点だと受け止めています。


私たちが継続して取り組んできたテーマ

私はこれまで都議会で、公金運用の高度化について繰り返し取り上げてきました。
初登壇の令和7年第3回定例会では、
東京を取り巻く環境は決して平坦ではなく、偏在是正税制の議論など、持続的な財源確保を難しくする要素も数多く存在している。そのような制約を乗り越え、さらに強い東京をつくっていくためには、発想の転換も必要ではないか。
という問題意識のもと、基金の計画的な積立て、運用、取崩しを含め、歳入面も強く意識した財政運営について知事に質問しました。

 令和7年都議会3定 一般質問 財政運営 知事答弁(動画)
 https://youtu.be/Jc7ZLi6l7H4

 令和7年東京都議会会議録第14号(会議録)令和7年10月2日
 https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/netreport/2025/report06/10.html

また、国民民主党東京都議団としても、このテーマを重要な政策課題として位置付けてきました。
財政委員会や予算特別委員会では我が会派の国崎議員が公金運用の高度化について質疑を行いました。

私も令和8年第1回定例会の一般質問において、下記の質問をしています。
第三回定例会で、基金運用の高度化を提起しました。運用益を都民に還元していくためには、その原資を確保することが不可欠であります。もとより公金である以上、安全性の確保が大前提です。その上で、金利環境が変化し、政策金利の引上げも進む中、運用の高度化を図る余地は広がっているのではないでしょうか。東京の稼ぐ力を高める観点から、さらなる運用収入の拡大に向けて踏み込んだ取組を進めるべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。
と提起してきました。
 令和8年都議会1定 一般質問 基金の運用(動画)
 https://youtube.com/shorts/NjnTIndc6rc

 令和8年東京都議会会議録第3号(会議録速報版)令和8年2月26日
 https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/record/proceedings/2026-1/03-11.html 

 ※国崎議員 財政委員会質疑リンク
  財政委員会速記録第13号 令和7年10月30日
  https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/record/financial/2025-13.html
 ※国崎議員 予算特別委員会質疑リンク
  予算特別委員会速記録第4号 令和8年3月13日
  https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/record/budget/2026/4-02.html

今回の記事を読みながら、「いよいよここまで来たか」という思いを持ったのは、こうした議論を会派として積み重ねてきた経緯があるからです。
もちろん今回の取組は、市場環境の変化や都庁内での検討の成果によるものです。しかし、議会の場で継続的に問題提起し、議論を深めてきたことも、少なからず後押しになったのではないかと感じています。


公金運用は「攻めの投資」ではない

ここで誤解していただきたくないのは、自治体の公金運用は、民間企業の資産運用とは全く異なるということです。
東京都のお金は、都民の皆さまからお預かりしている大切な財産です。
地方自治法では、歳計現金について「最も確実かつ有利な方法」で保管しなければならないとされています。
また基金についても、特定の目的に応じ、確実かつ効率的に運用しなければならないと定められています。
さらに地方財政法では、基金の運用は預金や国債、地方債などの確実な方法で行うことが求められています。
つまり、自治体は株式投資やハイリスクな運用によって大きな利益を狙うことはできません。
総務省も、元本保証のない株式運用は地方自治法の趣旨に反するとの見解を示しています。
私が提案しているのは、「リスクを取ってでも稼げ」という話ではありません。制度上認められた範囲の中で、より戦略的に、より合理的に、より都民の利益につながる形で運用できないかということです。


本当に注目すべきは300億円ではない

私が今回の記事で最も注目したのは、300億円という数字そのものではありません。本質は、東京都が「資金ごとの管理」から「ポートフォリオ管理」へと発想を転換しようとしていることにあります。
これまで基金ごとに管理していた資金を、資金需要や流動性を見極めながら一体的に管理する。短期・中期・長期の債券を組み合わせながら、金利環境の変化に応じて全体最適を図る。
企業経営の世界では当たり前の考え方ですが、自治体財政としては大きな変化です。
債券比率を35%から43%へ引き上げるという数字も、単なる運用テクニックの話ではありません。東京都が資産全体をどう管理するかという発想そのものが変わり始めていることを示しています。
私はここに、今回の改革の本当の意味があると考えています。


東京にも「バランスシート経営」が必要だ

私は民間企業で長く経営に携わってきました。
企業経営においては、

  • 売上を伸ばす

  • コストを下げる

だけでは十分ではありません。

  • 現金をどう確保するか

  • 流動性をどう維持するか

  • 資産をどう活用するか

  • 将来への投資原資をどう生み出すか

といった視点が不可欠です。
言い換えれば、損益計算書(P/L)だけでなく、貸借対照表(B/S)をどう経営するかという発想です。
私は行政にも同じ視点が必要だと考えています。
都議会では毎年、予算規模や事業内容が議論されます。
しかし、本当に重要なのは、東京が持つ資産をどう管理し、どう活用し、どう次世代へ引き継ぐかではないでしょうか。
今回の公金運用の見直しは、単なる利回り向上策ではありません。
私はこれを、東京都が「バランスシート経営」へ一歩踏み出した象徴的な取組として評価しています。


なぜ私は公金運用を訴えてきたのか

この議論の背景には、単なる資産運用論ではない、もっと大きな問題意識があります。
それは、東京の稼ぐ力を高めることです。
私は都議選以来、一貫して「手取りを増やす」を掲げてきました。(党の一丁目一番地の公約でもあります)
もちろん減税や負担軽減は重要です。
しかし、都民サービスを維持しながら負担を軽減していくためには、その原資が必要です。
私は行政もまた、歳出だけでなく歳入にも目を向けるべきだと考えています。


偏在是正への「反対」だけでは東京は守れない

東京都は近年、税収偏在是正措置によって累計で数兆円規模の財源を失ってきました。私はこれまでも偏在是正の問題点を訴えてきました。
しかし私は同時に、東京は「財源を返せ」と言うだけでは足りないとも考えています。
東京自身が、もっと稼ぐ力を高めなければならない。なぜなら東京は、日本経済の成長エンジンだからです。
東京が成長すれば、日本全体の税収も増える。
東京が稼げば、日本全体の活力も高まる。
だから私は、偏在是正への反対と同時に、東京自身の経営力を高めることが重要だと考えています。
公金運用の高度化は、その具体策の一つです。
東京が持つ資産や信用力を活かし、東京の稼ぐ力を高める。
それは東京だけの利益ではありません。
日本全体の成長にもつながる挑戦です。


運用益は誰のためにあるのか

もちろん、公金運用の目的は運用益を増やすことそのものではありません。
本当に大切なのは、その果実を都民へ還元することです。
基金にはそれぞれ設置目的があります。
だからこそ、

  • 防災基金の運用益は防災力強化へ

  • 教育関連基金の運用益は教育投資へ

  • 子育て関連基金の運用益は子育て支援へ

  • 福祉関連基金の運用益は福祉施策へ

といった形で、都民が成果を実感できる形に結び付けていくことが重要です。
私は令和7年第3回定例会の議会質問(初登壇!)で、

「都民配当」


という考え方を提案しました。
東京の成長によって生まれた果実を、都民に返していく。
そのためには、まず東京自身が稼ぐ力を高めなければなりません。


「何を削るか」だけではなく、「どう稼ぐか」

人口減少社会の中で、行政の議論はどうしても「何を削るか」に傾きがちです。もちろん歳出改革は重要です。しかし、それだけでは未来を切り開くことはできません。
私は、「どう稼ぐか」という議論も同じくらい重要だと考えています。
東京が持つ資産を活かす。
東京が持つ信用力を活かす。
東京のバランスシートを活かす。
そして、その成果を都民へ還元する。
今回の日経報道は、公金運用という一見地味なテーマの中に、東京の未来の可能性が隠されていることを示しています。
私はこれからも、「守る財政」から「育てて還元する財政」へ。
そんな視点で、東京の稼ぐ力を高める提案を続けてまいります。
東京の稼ぐ力を高め、その果実を都民へ還元する。
それこそが、私が目指す「手取りを増やす都政」の一つの姿です。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー