名探偵と大人の階段
僕子供だもんって、コナンくんが言うてたけど、あれほんま便利な言葉やね。
周りの大人に少し怪しまれても、子供の武器を最大限に使って切り抜けてる。
さすがコナンくんや。
そう思うと、子供はどこから大人になるんやろか。
18歳を超えたら?
煙草やお酒が飲めるようになったら?
コーヒーをブラックで嗜むようになったら?
ご飯屋さんで煮魚定食を頼むようになったら?
どれも惜しいけど違う気がする。
俺が思うに、おそらく、指で「3」を表す時に、
親指と人差し指を曲げて、中指・薬指・小指をまっすぐ立てる。
関節が軽く伸びて、親指の付け根がふっと沈むあの形。
一休さんが「ぽくぽくちーん」するときの合図みたいな、ちょっとだけ仏様っぽい形。
この動作がなんの引っかかりもなくスッとできるようになった時、それが大人の入り口やと思うんよね。
親指と小指を曲げて3を作るパターンと、
親指と人差し指を曲げて3を作るパターン。
なぜ後者の形が入り口なのかと言うと、指の名前にヒントがあると思ってるんよ。
親指お父さん指、人差し指お母さん指。
この2本の指がゆっくりのんびり休んでいられる時、人は初めて大人になるんじゃないかな。
だから俺は今日から、この3本セットを「大人指」と呼ぶ。
さて、入り口があるなら当然出口もあるはずや。
大人から老人に変わる瞬間が、きっとどこかにある。
定年退職したら?
腰が曲がったら?
杖をつき始めたら?
縁側でお茶をすすり始めたら?
どれも違う気がする。
俺が思うに、いつの間にか、同じ「3」を作ろうとしても、大人指でしか作れなくなってる時ちゃうかな。
昔ならパッと出せた人差し指・中指・薬指の「3」が、今や関節がカクっと鳴って、親指と人差し指が先に折れてしまう。
関節にじわっと鈍い重み。
ああ、もうあの形は自然に出てこやへんのかな…と気づく瞬間。
それが、大人の出口であり、老人の入り口なんやと思う。
ここからが大人のエリアですよーなんて、親切に看板が立ってるわけじゃない。
だからみんな、それぞれ自分の思い描く大人像に近づこうともがき苦しむんよ。
立派でないとダメ。
ちゃんとしてないとダメ。
しっかりしてないとダメ。
でも、大人なんて所詮子供の延長戦。
人生かけたサドンデスみたいなもんやし、思い出を辿っていけば、みんな等しくその辺で走り回って泣いてた子供なんよ。
ちなみに俺が初めて大人になったのは、マックシェイク3つを「大人指」で頼んだ25歳の頃やね。
ただこの大人指、俺がやると手首の内側にビキっと痛みが走るから、まだまだ俺は子供ってことでやらせてもらいたい。
痛いのはちょっと困るからな。
正直言うと、真面目な大人じゃなくても、ただ自分や周りの人に誠実であればそれでいいと思うんよね。
ってよりそれがなによりも大切なことやと思うのよ。
だから俺は自分や周りの人間に対してただただ誠実であろうと思う。
あ、でも難しいことはわからんし、ややこしいこともわからんよ?
そういうことは大人の人に聞いてください。
俺はそういう小難しい話とか専門じゃないので。
のんびりアホなこと言うてるのが専門なのでね。
だって僕、子供だもん。
