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503


「俺に言わせりゃ、ロマンに欠けるな」

作業のBGM代わりにルパンを流してたら、次元がしたり顔でそう言ってたんよ。

ロマンに欠ける…?

ろまん…?
ロマン!!
まさに男!!

次元のように強くもなく、ルパンのように華もない俺やけど、確信した。
ロマンに欠けちゃあ意味がねえ。

男なんやから、ロマンが大事。

そう思うとさ、子供の頃に見た大人への憧れってのもひとつのロマンよね。
子供の頃に見たCMとかって今でもふと思い出さへん?
いくつか思い出す懐かしいCMがあるんやけど、最近よく思い出すのはEDWINの503のCM。

ブラッドピットがギターを弾いて歌いながら、楽しそうに笑ってた。
その歌を強烈に覚えてる。

「ご〜まりぃさん〜えどうぃん〜
ご〜まりぃさん〜えどうぃん〜」

子供ながらに見たあのCMは、大人のロマンの塊やった。
かっちょいい大人やなぁ、と。

当時はブラピの映画なんて興味もなかったけど、その笑顔だけで心を掴まれた。

でも思うのよ。
俺は今、ブラピのように笑えてるやろか。
甥っ子や姪っ子から見て、
ちょっとでも「ロマン」を感じてもらえてるんやろか。

そもそも、“ロマン”ってなんやろ。
この漠然とした問いが、最近やたら頭を離れへん。

ご飯中でも。
駅のホームでも。
煙草に火をつける時にも。

今日もまた漠然とそんなことを考えて過ごしてたら、駅のトイレで偶然目に入った張り紙。

“一歩前へ”

男性ならわかると思うんやけど、よくトイレに書いてあるやんね。

あれ、ちょっとロマンじゃない?

誰に褒められるわけでもないけど、
誰かのために一歩だけ前に踏み出す。

地味やけど、俺はあの注意書きにロマンを感じた。

「ご〜まりぃさん〜えどうぃん〜
ご〜まりぃさん〜えどうぃん〜」

気がついたらブラピみたいに駅のトイレであの曲を口ずさんでた。

張り紙見ながら、ひとりで。

ありがとうブラッドピット。
おかげで次元の言ってたロマンってのが俺なりにわかった気がする。

ちなみに、ちょうどそのタイミングで入ってきたおじさんに、なんやこいつって顔で見られたけど俺は全然気にしない。

人の目を気にするとか、そういうのはね、
俺に言わせりゃロマンに欠けるね。

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