ちゃぶ台サミット
大体、物事を難しく考えすぎなんちゃうかなって思う。
ほんまはもっと簡単な話なんよ。
そう思ってても、いざ考えだすとどんどん話がこじれていって、
脳内のちゃぶ台囲んで、いろんな顔した俺が輪になってわちゃわちゃ言い合い出すんよ。
「いくら丼食べたい」
「でもダイエットしてるやん」
「北海道とか行きたくない?」
「そんなん行くより今こそ自己投資やよ!資格取ろう!」
「いや、もっと肩の力抜いて生きなあかんて」
議題なんやったっけ?って思うヒマもない。
でもな、たまにシーンとする瞬間があるんよ。
誰も何も言わんくなって、シーンとした無音故の高音が聞こえてくるような、そういう時間。
そのとき思うんよ。
「ほんまはもっと簡単な話やったんちゃう?」って。
カルピスとか飲みながら、ちょっと首かしげて「それでいっか」って笑って終わるような話やったんちゃう?って。
と思ったら、ちゃぶ台の向こうから黄昏てる俺が、
「歪んだ無常の遠き日も、セブンスターの香りがしたって椎名林檎も歌ってたしなぁ」
ああ、考えすぎるときっていつも、なんか昔の記憶がしれっと思考の仲間に入ってくる。
タバコの匂いとか、深夜にコンビニの前でぼーっとしてた自分とか、
ビニール袋踏んで滑って転けたとか、もうどうでもいいはずのことやのになんでか思考のど真ん中に座り込むんよ。
それが、ちゃぶ台会議をまたややこしくする。
でも、結局のところ、人生ってカルピスくらいでええんちゃうかと思う。
ちょっと薄いかとか、今日は濃いねとか、文句言いたくなるときもあるけど、
喉かわいてたらやっぱり美味しいもんやしさ。
まあ、どうせまた明日もちゃぶ台囲んでるんやろし。
で、また誰かが言い出すんやで。
「大体、難しく考えすぎなんやと思う。ほんまはもっと簡単な話なんよ」って。
晩ご飯のおかず決めたいだけやったのに。
