太宰をだしに
待つ身が辛いかね。
待たせる身が辛いかね。
借金の取り立てに来た檀一雄に太宰治が語ったとされるこの台詞。
そんなん、どっちも辛いよ。
辛さの種類が違うんやからさ。
言うなれば、待つ辛さはホルモン的な辛み。
待たせる辛さは骨格的な痛み。
待つ時はいつだって、内臓がぐるっと一回転するような緊張と、
時間の経過の遅さに身が焦げる。
待たせる時は、関節が逆を向くような不安定さの中で、
時間の経過の速さに骨が軋む。
もっとわかりやすい例えやと、そうね。
みんな大好き、どん兵衛のきつねうどん。
あの、お出汁が美味しすぎるが故に、
とある国では東西で味が分けられ、
目を伏せてしまいたくなるほどの東西戦争が起きた。
あのどん兵衛。
あれってお湯入れて5分やん?
最初の1分はお箸用意したり、コップにお茶注いだり、慌ただしく準備をするじゃない?
そして2分経過した頃にようやく落ち着き、
蓋の隙間から漂うどん兵衛の、あの出汁の効いた香りに、
内臓が歓喜のスクワットを始めるやん?
3分経過した頃には「もういいんちゃうか?」とすら思えてくるほど我慢できなくなるし、
4分経過した頃には「ここまで待ったなら正規の時間で待つしかない」と、
食欲を堪え、あと1分や…と顎が痛くなるほどの唾液と戦う。
そして5分経過して、蓋を開き、剥がす。
がしかし、蓋を全て剥がすのではなく、ほんの数センチだけ残して蓋びろ〜んの状態を作っておく。
捨てるときが楽やからね。
そしてお揚げさんを少し退けて麺をほぐし、添付されてる彩り七味を上からまぶす。
まずは出汁の効いたおつゆを……
って、ごめん、話の途中やけどどん兵衛食べたすぎてちょっと買ってくるわ。
また気が向いたら続き書くと思うから、それまで待ってて。
ここで終わると思わんかったって?
待つ身が辛いかね。
待たせる身が辛いかね。
