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コンビニでUFOの湯切りを頼むのは、葛藤するくらいで丁度良い。


私は今、コンビニのカップ麺売り場の前で迷ってる。それは、隣にいる中2の息子も同様だろう。我々は、ただ単純にカップ焼きそばを食べたいだけなのだが、こんなシチュエーションは、私ですら長らく生きてこれまで遭遇した事がない。


我々には、お湯を捨てる術がない…



この辺りに、適当な飲食店がないことがわかったのは、目的地である義父の入院先に到着する直前だった。

まあ、自宅から車で2時間以上かかったとは言え、今日のドライブはレジャーではない。唯一目に留まったこのコンビニで、ランチを調達することにした訳だ。そして、私は無性にUFOが食べたくなり、息子は同じく無性に一平ちゃんが食べたくなった。

しかし、問題はお湯だ。

コンビニでお湯を捨てたい時、一体どうすればいいのだろう?


「いや、普通捨てるところがあるって…店の外に」

と、謎の情報を持ち出した息子は、早速それを店外で確認したが当然そんなものはない。残りの可能性は、店員さんに捨ててもらう事になるが…

言いづらいな…




「え…俺が聞くのはちょっと…恥ずかしいな…パパが聞いてよ…店員さんに…」

いや、どう考えても私が聞く方が恥ずかしいだろう…

『え…このおじさん、いい歳をして、私にお湯を捨てさせてまで、今ここで、そこまでしてカップ焼きそばを食べたいの…?別にUFOくらい、家でいくらでも食べられるのに、正直ダルいんですけど…』

と、思われるかも知れないではないか…うん。実際店員は、いかにもそう思いそうな金髪20代のお姉さんだ。

まあ、そういう意味では、中坊が恥ずかしがるのも同じだが…ここはよりダメージが少ないあなたが、店員さんに確認するべきだろう。



「いや、それなら逆に大人が言った方が自然じゃない?『ああ…この人は、自分はそうまでして食べたくないけど、ワガママな息子の為に仕方なく確認してるんだ…』きっとそう思ってくれるよ」

まあ、それはそうだが…やはりこの依頼には抵抗がある。そもそも、このコンビニにはイートインが備わっていない。

『え…このおじさん、店から出た後に店の外で食べるUFOのお湯捨てを、店員の私にやらせようとしてるの?それってサービスの範疇を超えてるんですけど…しかも湯切りってあれで結構コツが必要な、もうある意味「調理」ですよね…まあ〜いい歳をして図々しい…多分この人、自宅とか車のゴミとかを平気でコンビニのゴミ箱に捨てるタイプだわ…恥ずかしくないのかしら…』


そう思われる可能性は非常に高い。

もう、いっその事方針を変えてカップラーメンにしようかな?いや、それはそれで残ったスープをどこに捨てるかという問題が残る。いや、カプヌなら飲み干せるか…

いやいや、ここで日和るのは大人としてどうなんだ?この葛藤を乗り越えることなしに、私が人間として成長することはないだろう。いや、今更成長しなくても…いやいや、じゃあお前は、今後同様の葛藤から逃げ続けるつもりなのか?それでお前は…


「ちょっと…さっきから二人で何やってんの…?」



「いや〜、やっぱり一平ちゃんはウマいな〜…で、どう?UFOは…」

いや…そりゃあウマいよ…車の中でカップ焼きそばを食べるのも新鮮だし、何よりも、先ほどの葛藤の直後に食べるUFOは格別だ。

まあ、妻が速攻で店員さんに確認してくれただけなので、私は何も乗り越えてないのだが…

「はい。食べ終わった?じゃあパパ、このゴミを捨てたら出発するよ」

え?このゴミをコンビニのゴミ箱に捨てるのか?もう、店の外で食べた時点でこれはゴミの持ち込みになるのではなかろうか…

「いや、この店で買ったんだからいいでしょう?ホラ、早く捨ててきて!」

まあ、ゴミ箱は幸い店の外にある。店員さんに見られる訳でないので良しとしよう…


え?店員さんがいるではないか…丁度今、ゴミ箱の中身が一杯になったのか、ゴミ袋を交換しようとしてるのだ…


まずいな…今更車に引き返す訳にもいかないし…



『え…このおじさん、私にお湯を捨てさせただけでは飽き足らず、車内のゴミまでここに捨てるつもりなの…?もう、行動が完全に予想通りじゃん…呆れて物が言えないんですけど!』


いえ…本当に申し訳ありません…

私は冷ややかな視線を感じつつ、俯きがちにお姉さんとゴミ箱に近づいて行く。ちょっと、このゴミをどうにかしたいと思いまして…

「あっ!ゴミですね…じゃあ、こちらにどうぞ〜」


ゴミ袋を広げてくれるその笑顔に、私を軽蔑する様子は見当たらない…



ありがたい事に、店員さんは、私を図々しいとも常識知らずとも思ってない。ゴミ捨て同様、彼女にとっては『お湯捨て』も対応して当然の仕事なのだ。


それならば、お湯捨て依頼の葛藤など、逆に乗り越えなくてもいいではないか…

何せ、店員さんはお湯捨てを断れない。

断れないと分かってる相手へのお願いは、実質強制であり、命令にすらなり得てしまう…

人として、葛藤するくらいで丁度いい。


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世の中と自分の違和感を書いてます。

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