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「筋力はあるのに、なぜふらつくの?」

新人PT・OTが見落としやすい「足裏の感覚」という視点

転倒予防や歩行練習を考えるとき、

・下肢筋力
・バランス能力
・歩行速度

に注目する方は多いと思います。

もちろんどれも大切です。

しかし臨床で高齢者の方をみていると、

「筋力だけでは説明できないふらつき」

に出会うことがあります。

そのとき私が意識しているのが足裏の感覚です。

足裏は体のセンサー

私たちは立っているだけでも、

・床が硬いのか柔らかいのか
・体重がどこに乗っているのか
・身体がどちらへ傾いているのか

といった情報を足裏から受け取っています。

足底にはメルケル盤、マイスナー小体、パチニ小体、ルフィニ終末などの機械受容器が存在し、圧や振動、皮膚の伸張などを感知しています。

脳はその情報を利用しながら姿勢制御を行っています。

つまり足裏は単なる「接地面」ではなく、姿勢制御のための重要な感覚入力装置と言えます。

高齢者では何が起きるのか

加齢に伴い足底感覚は低下することが知られています。

その結果、

・段差に気づきにくい
・ふらつきやすい
・方向転換が不安定になる
・裸足での立位が不安定になる

といった変化がみられます。

新人時代の私は、

「筋力が弱いからふらつく」

と考えることが多くありました。

しかし実際には、

筋力低下だけではなく、

『感覚入力の質の低下』

が関係していることも少なくありません。

評価で何を見るか

私はまず裸足で立ってもらいます。

そのとき、

・足趾が浮いていないか
・前足部と後足部の荷重はどうか
・左右差はあるか
・床を感じられている様子があるか

を観察します。

また、

・閉眼立位
・柔らかいマット上での立位
・片脚立位

などで感覚入力の変化に対する反応も確認します。

ここで重要なのは、

「感覚障害があるか」

だけではなく、

「感覚情報を姿勢制御に利用できているか」

を見ることです。

お風呂動作で考えてみる

例えば浴槽をまたぐ動作。

患者さんは

・裸足
・濡れた床
・片脚立位
・跨ぎ動作

を同時に行います。

この場面では筋力だけではなく、

足裏からの感覚情報が極めて重要になります。

通所リハや訪問リハで転倒予防を考える際、

実際の生活場面に近い状況を想像すると、

足底感覚の重要性が見えてきます。

「筋力」と「感覚」の両方を見る

最初はつい筋力やROMに目が向きがちです。

しかし人は感覚をもとに動いています。

筋肉を鍛えることも大切ですが、

感覚がうまく入力されなければ、

その筋力を適切に使うことはできません。

転倒予防や歩行練習を考えるとき、

ぜひ一度、

「この人は足裏からどんな情報を受け取っているのだろう?」

という視点で患者さんを観察してみてください。

見える景色が少し変わるかもしれません。

最後に

新人時代は評価項目を覚えるだけで精一杯です。

しかし臨床経験を重ねるほど、

筋力・関節可動域・バランスといった項目の奥にある

『感覚入力』

の重要性を感じるようになります。

あなたは患者さんの足裏を、どれくらい観察していますか?

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