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「ことばの力を生きる力に!」ことばの獲得は、心の形成、思考、集中、コミュニケーションを支える源

 昨年夏から、教育に対する新たなチャレンジを始めています。50年にわたり教育に携わり、多くの子どもたち、また6万人もの先生方をご指導させて頂いた経験から、最近では、「ことば」に対する敬意がより一層高まりました。「ことば」を大切にしたい!そんな思いをつづります。

 その50年で培ってきた「言葉の力を生きる力に!」という教育観、そして、乳幼児期における言葉の獲得が心や精神、知性の形成に不可欠であるという考えが、より高まってきていることを感じています。これらは現代の言語学や脳科学の知見と完全に一致すること、長年の実践から得られた確信が、科学的な裏付けを得ているということが何よりの自信に繋がっています。

言葉が心と知性を育む理由

 言葉の獲得が人間の成長において中心的な役割を果たすのには、明確な理由があります。

  • 感情の分化と表現: 言葉を身につけることで、子どもたちは「嬉しい」「悲しい」「悔しい」といった抽象的な感情を認識し、言葉として表現できるようになります。これにより、自分の内面を客観的に捉え、他者と共有する力が育ちます。心の安定や自己肯定感の形成に不可欠なプロセスです。

  • 思考の道具: 言葉は単なる伝達手段ではなく、思考そのものの道具です。頭の中で物事を考えたり、論理を組み立てたりする際、私たちは言葉を使います。例えば、「なぜ空は青いの?」と問われたとき、子どもは学んだ知識と言葉を使い、思考を巡らせて答えを探します。言葉が豊かであればあるほど、より複雑で深い思考が可能になります。

  • 記憶と集中力の強化: 言葉は、記憶を整理し、引き出すための「ラベル」の役割を果たします。何かを覚えるとき、私たちはその対象に言葉を紐づけます。これにより、記憶が体系化され、必要な時に素早く思い出せるようになります。また、言葉で物事を「理解」することで、集中力を持続させ、より深く探求する意欲が生まれます。

さらなる実践のために

 言葉と知性以外に、新たに気付いたことがあります。それは、

 「対話」の重要性の強調 です。言葉は、単にインプットされるだけでなく、他者との対話を通じて磨かれます。子どもたちが自らの言葉で考えを語り、相手の言葉に耳を傾ける機会を意図的に設けること。これにより、言葉は「生きる力」としての真価を発揮します。
 これは、親子間での会話の重要性を意味しています。人と話す、それは、簡単そうに見えて実は、相手の話を聴き、その内容を理解し,そして、応えなければ成立しません。つまり、対話や会話とは、ことばを介した読解なのです。

 次に、意外かもしれませんが、非言語コミュニケーションとの統合です。言葉だけでなく、声のトーン、表情、ジェスチャーといった非言語的な要素が、言葉の意味を補強し、より豊かなコミュニケーションを生み出します。  
 言葉の獲得と並行して、これらの要素の重要性も伝えることで、総合的なコミュニケーション能力を育むことができます。
 ノンバーバル:非言語の代表例は「笑顔」です。表情の豊かさから何を伝えたいかを読み取ることができます。私は、教育現場で、学力に自信のない子が、自ら挑戦した問題を解いた時に見せた笑顔が忘れられません。私も、無意識に笑顔で返していました。言葉以上の喜びを感じた瞬間でした。

 もう一つ、付け加えたいのが「物語」の活用です。物語は、言葉が持つ力、つまり、感情を動かし、想像力を掻き立て、共感を育む力を最も効果的に示すツールです。物語を読み聞かせたり、子ども自身に物語を創作させたりすることで、言葉の奥深さを体感させることができます。
 つまり、お母さんやお父さんが行う「読み聞かせ」は、いつもの聴き慣れた声を聴くことで安心感を感じ、言葉の持つ奥深さ、表現、感情をある意味、言葉での疑似体験をしているのです。
 時には、何度もねだる物語、その内容を一言一句覚え、同じ言葉が語られることに喜びを感じる、つまり、高度な言語遊びを展開するのです。
 読書から離れる現代社会だからこそ、今、必要な子どもとの「ことば」を介したコミュニケーションが大切だと思います。

 「ことばの力を生きる力に!」子どもたちが、日々の営みから吸収し獲得する言葉は、やはり厳選して上げたいと思います。何故なら、その言葉の一つひとつが、子どもの心を形成し、思考の源になるからです。
 「ことばを学ぶ」、それは、子どもの未来に繋がっていきます。

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