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古い車の何が好きって

最近、職員の自動車事故が多い、と管理グループのリーダーが嘆いていた。
確かに私のグループでも今年はすでに2件。今までずっとゼロだったのだが。
車を運転する機会が少ない若手は無理もないことだが、問題は、事故を起こしたあとは当事者も周りも「運転が怖い」という心境になってしまうことだ。
昨日も、同行を求められたので、まあいいけど、と思い諾の旨を伝えたところ、「運転してもらってもいいですか」というボールが速球で返ってきた。
「へ?」
聞き返す私に、
「できる限り運転したくなくて」
「、、、、、、、、、」
この子、そうだったのか。
「そうだったのか」の「そう」には、いろいろな要素が盛り込まれているが、まあ運転依頼を拒む理由もない。
何より私は運転が好きな方だ。
むしろ運転が不慣れな人にハンドルを握ってもらって助手席に座ってる方が怖いしね。

こんな私でも、現場に出るような仕事に就くまではペーパードライバーだった。
最初は公共交通機関で現場まで行っていたが、行けない場所もあるし時間もかかる。
運転することを決断し、当時の上司に相談したところ、机に座っていたくない上司は、しょっちゅう同行を申し出てくれて、教習所の講師のように助手席で運転のアドバイスをしてくれた。
おかげで仕事も運転もスキルアップできたので、私をサボりのダシに使ったんだろうなとは思いつつ、仕事嫌いでアウトローな上司に感謝している。

運転好きになった私に、今度は夫がマニュアル車を勧めてきた。
まあ免許もあるしね、と思い、裏の宅地造成された新しい道路で、坂道発進の練習を繰り返し、公道デビューした。
おかげさまで農業の仕事のときも、マニュアルの軽トラなども問題なく使え、農家さんには「おめさん、マニュアル運転できるんけ!」と褒められたこともある。
車がマニュアル車だと、自分自身がオートマチックに動作を行うようになるから面白い。

うちの職場には荷物を運ぶためのマツダの古いボンゴがある。
コラムシフトで、クッション性皆無のシート。
ステアリングは水平に付いている。
だから曲がるとき、腕は普段とは違う動きをするのだ。
座面も高いので、まるでトラックかバスの運転手になったような気分になる。
そしてこのボンゴ、本当に、かなり古い。
運転席のドアは、閉まってんのか閉まってないのか分からないくらいガタガタいってる。
シートベルトさん、あなただけが頼りです。
走る時もガタガタいってる。
尻がバウンドしながら、運転していると、何だか笑いが込み上げてくる。
普段とは違う体験を「怖い」と感じる人もいるが、私は「面白い」と感じる。鼻歌が出てきそうな程に。
古く無骨な車を動かすことで、機械を操作しているという実感が高揚感を生むのだろうか。
それとも、体が弾む物理的感触が心をも弾ませてしまうのか?
単に、私がどうかしている、のかもしれない。

荷物を運ぶような業務はあまりないので、ボンゴを運転する機会はほとんどないのが残念なところではある。
だが、近々ボンゴが登場しそうな仕事の情報を仕入れた。
オフィスに置ききれない文書を段ボール箱に詰め、それを本部のビルに運ぶらしいのだ。
「◯◯課さん、運べそうですか?」
たまたま出席していた会議で聞かれ、私は担当でもないのに、
「はいっ!うちにはボンゴがあるので全然オッケーです!」
言った後に、管理グループのリーダー的には、取りに来てもらいたい、と言うかもしれん、という思いもよぎった。
しかし、自らの発言を後押しするように、うんうん!と頷いた私を見て、本部の方も、うん、と頷いた。

これで、ボンゴの運転手は、私に決まりだな。
そんな仕事は他に預ければいいのに、と管理グループのリーダーにお小言を言われそうだが、そこは私が責任取って、運転しちゃいます!
多分、活きのいい手下を数人用意できれば実現可能だ。
ウキウキしながら、私は水平のステアリングをぐるぐる回すに違いない。
FUN TO DRIVE!

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