年収1,100万フリーランスの手取り、リアルに全部見せます。マイクロ法人で社会保険料が「年70万円」変わった話
額面1,100万。
この数字だけ見ると「勝ち組」に見えるかもしれない。
でも、税と社会保険で削られたあとに口座に残る金額を見て、僕は何度も真顔になった。
この記事では、匿名だからこそ出せる「フリーランスの手取りの実数字」と、
マイクロ法人を使って社会保険料がどう変わったかを、ぜんぶ数字で公開する。
※数字は匿名性のため多少丸めています。金額の大小や傾向は、実際の確定申告どおりです。
はじめに:なぜ僕が「手取り」を晒すのか
お金のない家に生まれた。
だから「稼ぐ」ことだけを動機に走ってきた。ブラックなベンチャーで実務を限界まで詰め込んで、独立して、いまはフリーランスのシステムアーキテクトとして、提案も見積もりも全部自分でやっている。
額面の年収は約1,100万になった。
でも、フリーランスを少しでもやったことがある人なら分かるはずだ。額面と手取りは、別の生き物だ。
会社員なら勝手に天引きされて見えなかったものが、フリーランスでは請求書のように毎年ぶん殴ってくる。所得税、住民税、国民健康保険、国民年金、消費税。そして極めつけが——国民健康保険の高さだ。
匿名でやっているから書ける。実名アカウントの「年収1,000万になりました!」には、この生々しい部分がほとんど出てこない。だから僕が出す。
1. 額面1,100万の「手取り」、実数字
まず、マイクロ法人を使う前の状態。フリーランス(個人事業主)として、額面に近い売上を全部個人で受けていた場合の数字だ。

額面1,100万から、手元に残るのはざっくり600万円前後。割合でいえば、4割以上がどこかに消えていく。会社員時代に「額面と手取りの差」を意識していた人でも、フリーランスのこの削られ方には驚くと思う。
ひとつ補足しておきたい。この表の「所得税 約66万円」は、実はかなり圧縮された後の数字だ。課税所得から普通に計算すると、本来の所得税は約89万円ある。そこから——
住宅ローン減税で ▲約21万円
定額減税(2024年限定・本人分)で ▲3万円
を引いて、約66万円まで下げている。さらに表には現れないが、生命保険料控除・地震保険料控除も、課税所得を下げる形で税を削っている。
つまり「手取りを増やす」には、稼ぐことと同じくらい控除を使い切ることが効く。この「控除で税を削る」話は、それ自体で何本も書けるテーマなので、記事の最後にある節税シリーズでひとつずつ分解していく。(※定額減税は2024年だけの措置。来年の手取りは、この3万円ぶんだけ静かに下がる。)
特に効いてくるのが国民健康保険だ。所得が上がるほど上がり、ある所得を超えると上限(自治体により年80〜90万円前後)に張り付く。
つまり、フリーランスで稼げば稼ぐほど「国保の上限」という名の重りが足首に巻かれる。ここに最初に気づいたとき、僕は「これは仕組みで殴り返すしかない」と思った。
2. マイクロ法人という「仕組みの裏技」
マイクロ法人は、怪しい裏ワザではない。制度の組み合わせ方の話だ。
ざっくり言うと、こうだ。
自分の事業の一部を、小さな法人(マイクロ法人)に移す
その法人から、自分への役員報酬を「最低限」に設定する
すると社会保険(健康保険・厚生年金)はその低い役員報酬を基準に計算される
残りの事業所得は、引き続き個人事業主として受ける
ポイントは3だ。
フリーランスのままだと、国保は事業所得まるごとに対してかかる。だから上限に張り付く。
ところがマイクロ法人を作って社会保険に切り替えると、保険料の基準は役員報酬の額になる。僕は役員報酬を月6万円に設定した。すると社会保険料は最低等級まで落ちる。
これが「マイクロ法人で社保を圧縮する」の正体だ。
3. before / after:社会保険料はこう変わった
ここが、この記事の核心。実数字を、図で出す。

社会保険料だけを見れば、約100万円 → 約26万円。▲約74万円だ。役員報酬を月6万円に下げたことで、保険料の計算基準が「事業所得まるごと」から「月6万円」に変わった結果である。
ただし——法人を持つと、別のコストが発生する。
赤字でも毎年かかる法人住民税の均等割(年7万円前後)
記帳・申告のための税理士費用(僕の場合は年13万円)
社会保険の手続きと、毎月の事務
この維持コスト(合わせて約20万円)を差し引いても、手元に残るのは年 約54万円。社保単体の▲74万から維持費20万を引いた、これが「実質おトクになった額」だ。
おまけに、役員報酬の72万円(月6万×12)は、給与所得控除と基礎控除の範囲内に収まるので所得税・住民税はほぼゼロ。さらに国民年金が厚生年金に変わるので、将来もらえる年金や、傷病手当金といった保障もついてくる。削っただけじゃなく、もらえるものは増えている。
4. 正直に言う。マイクロ法人が「向かない人」
数字だけ見て飛びつくと、たぶん後悔する。逆張りで正直に書く。
向く人
事業所得が高く、国保が上限に張り付いている人
数字と事務処理に拒否感がない人
これからも事業を続ける前提がある人
向かない人
所得がまだ低め(国保が上限に達していない)人
事務・手続きが心底嫌いで、税理士コストも惜しい人
「節税」だけが目的で、事業の実態が乏しい人(ここは税務上もリスク)
僕は「事業所得が高い × 数字が苦じゃない × 長く続ける」が全部当てはまったから踏み切った。自分がどこに立っているかを先に見極めるのが、スキームより先だ。
5. まとめ:手取りは「稼ぐ」だけじゃ増えない
額面を上げる(稼ぐ)。
削られ方を変える(守る)。
この2つは別のスキルで、両方やって初めて手取りが増える。マイクロ法人は「守る」側の、かなり効く一手だった。
でも、これは全体像の一部でしかない。僕は「稼ぐ→守る→増やす」の順番で、お金の全部を実数字で晒していくつもりだ。
稼ぐ:貧乏家庭出身の僕が、フリーランスで年収1,100万になるまでの全行程
守る:今回のマイクロ法人/節税のリアル
増やす:エンジニアの稼ぐ力を、株で資産1,500万に変えた話
次回予告:「守る」を、もっと
マイクロ法人は「守る」の入口にすぎない。これから、フリーランスの節税を一つずつ実数字で分解していきます。今回のように、きれいごとではなく「実際にいくら変わったか」で。
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「稼ぐ→守る→増やす」のうち、守る=節税は、いちばん地味で、いちばん効く。
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