春の欠片を噛む
春きたりなば 櫻散る夜
銀の月明かりが 薄紅を白く透かす
ひとひらの花弁を そっと唇に含めば
それは あの日言えなかった言葉の味がした
ひんやりと けれど確かな感触が
意識の淵から あなたを呼び戻す
別れた夜の あなたの背中
舞い落ちる花に急かされるように
人混みへ溶けていった あの後ろ姿
「さよなら」は風にさらわれ
残されたのは 淡い未練と
掌に溜まった 冷たい春の欠片だけ
口に咥えた花弁は やがて熱を帯び
私の呼吸に あなたの記憶を混ぜてゆく
今年もまた 櫻は無慈悲に美しく
私は独り この季節の熱に浮かされる




まるもりはっぱさま、宜しくお願いします🙇⤵️
