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​泣き虫おにの涙:ボーンさん


​むかしむかし、山奥の小さな村の はずれに、一本の大きな提灯を掲げた古びた家がありました。その提灯には、なぜか『泣き虫おに』と書かれています。

​そこに住んでいたのは、真っ赤な肌に二本のツノ、そして立派なトゲトゲの金棒を持った、れっきとした赤鬼の子どもでした。
名前は「剛(ごう)」。

​鬼といえば、村を襲ったり、人間を怖がらせたりするのが普通です。しかし、剛は違いました。彼は名前と体に似合わず、ものすごく気が小さくて、寂しがりやの「泣き虫」だったのです。

​「どうして僕は、みんなと仲良くできないんだろう……」

​ある満月の夜、赤鬼の剛は縁側に腰掛け、大きな涙をポロポロと流して泣いていました。

人間と友達になりたくて山から下りてきたものの、その恐ろしい姿を見た村人たちはみんな逃げ出してしまいます。誰も自分を見てくれない悲しさに耐えかねて、彼はひとり、ごつごつした手で涙をぬぐっていました。

​その時です。草むらがカサリと揺れて、小さな足音が近づいてきました。

​「もしもし、おにさん。どうして泣いているの?」

​驚いて剛が顔を上げると、そこには小さな男の子が立っていました。手には、美味しそうなおにぎりが詰まった小さな籠を持っています。

​剛は慌てました。自分が泣いている姿を見られた恥ずかしさと、また怖がらせてしまうのではないかという不安で、胸がいっぱいになります。

​「だ、誰だい……? 僕は鬼だよ? 怖くないのかい……?」

​男の子はにっこり笑って、首を振りました。

​「全然怖くないよ。だって、そんなに悲しそうに泣いているんだもん。悪い鬼なわけないよ」

​男の子はそう言うと、懐から真っ白な手ぬぐいを取り出し、そっと剛に差し出しました。

​「これ、使いなよ。涙、拭いて?」


赤鬼の子、​剛の前に、小さな手が差し伸べられた瞬間でした。剛の目から、さらに大粒の涙が溢れ出します。今度は悲しい涙ではなく、嬉しくて、心がじんわりと温かくなった涙でした。 ​

「ありがとう……ありがとう……」 ​剛は、男の子からもらった手ぬぐいで顔を覆い、また少し泣いてしまいました。

​「僕の名前は太一。お腹が空いているなら、このおにぎり、一緒に食べよう?」



​その夜、満月の優しい光に包まれながら、泣き虫な鬼の子と優しい男の子は、縁側で並んでおにぎりを食べました。

村の案内にと掲げられた提灯の文字は、いつしか「泣き虫おに」から、「一番優しいおにの家」として、村の子どもたちに親しまれる道標になっていったといいます。




#3つのお題に空想のひらめきを
#片桐みかんさん企画


山中サトシさん、マガジン収録して下さりありがとうございます(^人^)💞

七海文さん、マガジン収録して下さりありがとうございます(^人^)💞

みかんさん、マガジン収録して下さりありがとうございます(^人^)💞

ボーンさんの素敵な物語😉
お読みください。

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