明けない夜はない。
長い夜が明けて昇る太陽をこいねがう。
それは、極夜(きょくや)という名に込めたわたしの心。
希う(こいねがう)
……強く願い望む。切に望む。
極夜(きょくや)
……太陽が全く昇らない、
またはほとんど昇らない日が続く現象。
北極圏と南極圏で起こる。
ずっと真っ暗なわけではなく、
晴れれば昼間は少しだけ明るい。
「極夜」は元々、
外の世界に出るための仮面として生まれた。
実は極夜の前にも別の仮面があった。
その仮面は、わたしの心を守るために、
破裂して消えた。
それでもわずかに、稜線の影から、光のようなものが届いていた。
あれからしばらく夜をただよっていた。
ある時、その光のようなものに、気づいた。
もういちど、あの光のもとへ、帰りたい。
それが叶うなら、今度こそまっすぐに生きていく。
そこへ降りてきたのが「極夜」なんだ。
あの頃わたしの心は、極地の夜のように暗く冷え切っていた。
だけど、心はまだ、わずかに動いてて。
痛みばかりだけど、ちゃんと感じてるのだと気づいた。
今は真っ暗だけど、きっとこれからまた、変わるのか…信じられる?
信じたい。変わるのだと。
それをそのまま表している、極夜という言葉。
・・・そうだ、今日から極夜という名前にしよう。
あの美しい夜明けにつながる、この長い夜を、
希望を持って進むために。
この言葉は確かにどうしようもなく厳しい。
けれど、厳しさを越えた先に、確かな明日が待ってるから。
「極夜」が来たとき、ぼろぼろだった心は、
時間とともに癒やされていった。
今、極夜はもう単なる仮面ではない。
もうひとりのわたしとして、いつも一緒にいる。
今ここで、一緒にいる。
あなたと。
そんな、おはなし。
読んでくれて、ありがとう。
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