なぜ集団は「やる気のある層」と「そうでない層」に分かれるのか
皆さんは所属する会社、地域のコミュニティ、また部活動などで、いろんな人たちがいる中で、「なぜあの人はやる気がないのだろう」と感じたことはないでしょうか。
やる気のある人ほど、この問題に直面し、悩むことが多いのではないかと思います。
なぜこの話をするのかというと、私自身、現在塾の運営に携わる中で、まさにこの「やる気のある層」と「そうでない層」の差を間近に見ているからです。
また、私の受け持っている生徒たちも、現在中体連に向けて残り2週間という時期に差し掛かっています。やはりそこでも、やる気のある子とそうでない子の差が分かれてしまっているとのことです。
「どうやったらやる気のない子たちをやる気にさせることができるんだろう」と悩む女子生徒を目の前にして、この話題は非常に重要かつ避けては通れない問題だと感じ、今回お話しさせていただくことにしました。
2対6対2の法則
2対6対2の法則とは、どのような集団においても以下の割合で構成されるという統計的な法則です。
上位層(2割)
自発的に成果を上げ、組織を牽引する人材中間層(6割)
上位層にも下位層にも位置しない、平均的な人材下位層(2割)
モチベーションが低く、成果や貢献度が少ない人材
組織においては、10人程度の規模になってくるとこの法則が顕著に現れてきます。これはもちろん、人数が増えれば増えるほど、2対6対2の割合に極めて収束していくという統計的な確率であります。
塾内のやる気における2対6対2の法則
まさに私は塾において、この「2対6対2の法則」を目の当たりにしています。
今回やる気(モチベーション)にフォーカスしてグラフを作成してみたところ、塾生内の意欲がまさにこの法則に則っていることが確認できました。現在の私が受け持つ校舎の塾の生徒数は約35名程度です。
この中から小学生を除いた中学生のみ30名でグラフを作成したところ、以下のような結果となりました。
(面談や普段の塾での様子等を加味してモチベーションというところにフォーカスして、グラフを作成しています。)

まさに2対6対2のグラフに則ったものとなりました。
非常に面白い結果です。
では組織はなぜそもそも2対6対2の法則に則るのか
心理学的な「無意識の役割分担」
人間は、集団に入ると無意識のうちに「周りとの比較(相対評価)」によって自分の立ち位置と役割を決めようとします。
上の2割: 「周りが動かないから、自分がやるしかない」「自分が引っ張ろう」と責任感を強める。
中間の6割: 「あの人がやってくれるなら、自分はサポートに回ろう」「怒られない程度にやろう」とペースを合わせる。
下の2割: 「自分がいなくても回っているし、まあいいや」と意欲を失う、あるいは甘える。
生物が生き残るための「リスク分散」だから
生物学(働きアリの法則など)の視点では、全員が100%の力で同時に動くのは非常に危険とされています。
全滅を防ぐため(余力): 全員が全力で働いている時に急な環境変化(敵の襲来や不況など)が起きると、全員が一斉に疲弊して集団が全滅します。
あえて「サボる層」を残す: 普段動かない2割(下位)がいることで、上位や中位が疲れて動けなくなった時に、その「余力」がピンチを救う役割を果たします。集団を長持ちさせるための防衛本能です。
組織においてできること
では、2対6対2の法則が自然に起こる現象だとした時、組織としてはどう向き合えばいいのでしょうか。
私は、下位の2割を無理やり変えようとするのではなく、まずは組織全体の基準値を上げていくことが大切だと考えています。
どんな組織にも、上位層・中間層・下位層のような差は生まれます。
しかし、それはあくまで「その組織の中だけ」で見た場合の話です。
もし社会全体を一つの大きなグラフとして捉えるなら、大切なのは、その組織全体が社会平均よりも右側に位置しているかどうかです。
組織全体の基準値が上がれば、その中ではやる気がないように見える人でも、社会全体で見れば高い位置にいる可能性があります。
つまり、大切なのは「下位の2割を責めること」ではなく、「集団全体を右にシフトさせること」なのではないでしょうか。
上位の2割が、周りに良い影響を与えられるようにすること。
中間の6割が少しでも前向きに動けるような環境をつくること。
下位の2割にも、小さな成功体験を積ませること。
この3つが、組織全体の基準値を上げるうえで重要だと考えています。
結局、組織を変えるというのは、全員を一気に上位層にすることではありません。
一人ひとりの基準値を少しずつ上げ、集団全体を少しずつ右側へ動かしていくことです。
そうした積み重ねが、やがてその組織にいる人たちの未来を大きく変えていくのではないかと思います。

