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北極海で学び、つながる43日間。おしょろ丸帰港式レポート

7月31日(金)、北海道大学水産学部附属練習船「おしょろ丸」が、43日間にわたる北極航海を終え、函館港弁天地区岸壁へ帰港しました。

今回の航海は、文部科学省「北極域研究強化プロジェクト(ArCS III)」の支援を受けて実施されたものです。

おしょろ丸は6月19日(金)に函館を出港し、ベーリング海北部やチュクチ海を航海。海洋環境や生態系に関する観測・調査を行うとともに、北海道大学の学生・大学院生のほか、京都大学や金沢大学の大学院生、全国から公募で選ばれた公開実習生、ハワイ大学からの参加者も乗船しました。

研究船であり、教育船でもあるおしょろ丸。

北極海の変化を見つめると同時に、多様な背景を持つ学生たちが共に生活し、学び合う「洋上のキャンパス」としての役割も担った43日間でした。

本記事では、帰港式の様子をお届けします。

北極海から函館へ

7月31日朝、函館港弁天地区岸壁。
岸壁には大学関係者らが集まり、おしょろ丸の帰港を待っていました。

関係者の手には、国際信号旗「UW3」。
船舶間で「ご安航を祈る」「歓迎」を意味する信号として用いられる旗です。北極海から帰ってくるおしょろ丸へ、「おかえりなさい」の気持ちが送られました。

研究室の学生たちから手作りうちわで出迎えを受ける水産科学研究院 野村大樹教授(右から2番目)

帰港式

着岸後には帰港式が行われました。

はじめに挨拶に立った藤森康澄水産科学研究院長は、43日間の航海を終えた学生や研究者、乗組員を前に、「皆さん、お帰りなさい。そして何より、全員が元気に函館へ帰ってこられたことを大変うれしく思います」と、無事の帰港を歓迎しました。

藤森研究院長は、出港時に学生たちへ託した「三つのこと」を改めて振り返ります。

一つ目は、「広い視野で航海を見ること」。
二つ目は、「現場力を磨くこと」。
そして三つ目は、「今日の一枚を選ぶこと」。

藤森研究院長は学生たちへ、「自分の研究だけではなく、他の研究にも興味を持つことができたでしょうか」と問いかけました。
船上では、さまざまな分野の研究者や学生と生活を共にします。
「その中で、自分の専門だけでは得られない刺激を受けた人も多かったのではないでしょうか」と、多様な人々とともに過ごす航海ならではの学びについて語りました。

また、「現場力」については、「船の上では、予定どおりにいかないこともたくさんあります」と話し、「そんな中で、自分で考え、周りを見ながら行動する力は、きっとこの43日間で大きく成長したはずです」と学生たちを労いました。

さらに、「今日の一枚」についても触れ、「北極の雄大な景色だけではなく、観測の様子や食堂での食事、仲間との何気ない一枚が、きっと皆さんにとって一生の財産になると思います」と呼びかけました。

挨拶を述べる藤森研究院長

そして最後に、データ取得を目的として乗船した学生たちへ向けて、「『北極域へ行ってきた』という経験で終わるのではなく、『北極域で得た経験を研究として形にした』と言えるところまで頑張ってください」とエールを送りました。


続いて、乗船学生を代表して北海道大学水産学部海洋生物科学科4年の丸山睦実さんが挨拶を行いました。

学生代表挨拶を務めた丸山さん

丸山さんは、43日間にわたる航海を振り返りながら、ベーリング海やチュクチ海で行った観測・調査について紹介しました。

今回の航海では、海洋物理学や化学、生物学などさまざまな分野の調査が行われました。丸山さんは、そのなかで特に現場での経験から得た学びについて触れ、「海上での観測・調査は、海況や天候に左右される中、限られた時間や条件の中で行わなければならず、現場での臨機応変な対応が求められる場面も多くありました」と振り返りました。

そして、「実際に観測を経験する中で、現場で判断し、対応することの難しさと、その重要性を学びました」と語りました。

また、自身の研究に必要なサンプル採集にも取り組んだことに触れ、「知識や準備が十分でない部分もありましたが、多くの方々に助けていただき、無事に終えることができました」と話します。

その経験を通じて、「船上での観測は決して一人ではできず、多くの方々の協力があってこそ成り立つものだと実感しました」と、乗組員や研究者をはじめ、本航海を支えた人々への感謝を述べました。

さらに、白夜や海氷、北極域の生物との出会いに加え、研究者や他大学の学生たちとの交流も印象深かったといいます。
「さまざまな分野の研究者の方々や、異なる大学・学部で学ぶ学生の皆さんと交流する中で、多くの刺激を受け、さまざまな視点から物事を捉えることの大切さを学びました」と語りました。

最後に、「毎日が学びと発見、そして感動にあふれた、非常に刺激的で充実した43日間でした」と航海を振り返り、「今回の航海で学んだことや感じたことを忘れず、これからの研究活動や人生に生かしていきたいと思います」と決意を述べました。


応援団からのエール

帰港式の最後には、札幌から駆け付けた北海道大学応援団と、乗船者による「水産放浪歌」の合唱が行われました。水産学部で長く歌い継がれてきたこの歌に続き、応援団から乗船者へ向けてエールが送られました。


それぞれの場所へ

43日間の北極航海を終えたおしょろ丸。
乗船した学生たちは、それぞれの研究や新たな目標を胸に、再び陸上での日常へ戻っていきます。

今回の航海で得られた経験や研究成果は、これから卒業研究や修士論文、そしてその先の未来へとつながっていくことでしょう。

43日間の航海をともにした乗船者たち。
この集合写真もまた、「今日の一枚」になりますように。

次回予告

本記事では帰港式の様子をお届けしましたが、船上ではそれぞれに多くの学びや発見がありました。

次回は、主席研究者を務めた北方生物圏フィールド科学センター/北極域研究センターの松野孝平准教授、おしょろ丸 星直樹一等航海士、そして乗船した学生へのインタビューを通して、43日間の北極航海を振り返ります。

本航海中には、おしょろ丸船上からライブ中継も実施されました。北極海の様子や観測・調査の様子、船内での生活について紹介されていますので、ぜひご覧ください。

参考

2023年の北極航海記事はこちらから👇


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