”いつか”は”今、ここ”
アグネスの輝き
アグネス・チャンと言えば、筆者の世代には若かりし頃の、アイドルにして大スター。そのアグネスも2025年、古希を迎えられたとのこと。まあ、そうだよね、筆者が還暦過ぎなんだから。アグネスも筆者も年をとったものです(アグネスと筆者を一緒にするなって)。とは言え、アグネスは今も若々しくアクティブで、眩しいくらい輝いて見える。年取ったと、しょぼくれてなんかいない。さすが、スターは違うのですね。
完璧を目指さない
さて、そのアグネスが「完璧を目指さない」という記事を書いていたのだけれど(*)、常日頃、完璧主義をやめよう、スーパーマンをやめようと、くどいと言われるくらい申し上げている筆者としては我が意を得たり。
その記事でアグネスは、やりたいことはすぐにやりなさいとおっしゃる。どういうことか。筆者もだけれど、人間、ある程度の年齢になると、人生の残り時間というものを意識せざるを得なくなります。やりたいことは色々あるけれど、残り時間は限られているのですね。
若い頃、家内がよく言っていたのだけれど、「それは老後の楽しみにとっておきましょう。」。生活に追われ、時間的にも経済的にも余裕なんてあるわけがない。やりたいこともなにも、そんなこと言ってられなかった。「老後に・・・」と言うしかなかったのだね、当時。
”老後”なんて、ない
ところがですね、その後あくせく働き続けても、その”老後”なんてものは全然、見えてこないじゃないですか。外国からの観光客が日本に来て驚くのが、「老人が働いていること」らしい(一説によると高齢者の就業率25%もあるとか)。
僅かな年金給付では生活できない。皆、死ぬまで働き続けなきゃならない。時間的にも経済的にも余裕ができる”老後”なる期間は、日本人の人生には用意されないことが明らかになったわけ。
「老後の楽しみに・・・」といったところで、その”老後”は来ない。ありもしない”老後”なんて待ってられない。やりたいことは今すぐ、やらなきゃ、もう、機会は訪れないのだ。
今すぐ、できることから取り掛かる
で、アグネスの言葉。やりたいことは今すぐ取り掛かること。たしかにそのとおりだが、時間もお金もないのだ、やれないじゃないか、と思うじゃない?
アグネスは答える。できることをやればいいのだと。夢は世界一周旅行。でもそんな余裕あるわけない。できるわけがない。ならば、一泊二日の温泉旅行でいいからに行きなさい。できることをやりなさい。まず、行動を起こすことだと。
温泉一泊旅行じゃ、世界一周の代わりにならない。けれども、世界一周という完全形態を求めて待っていたところで、その機会は多分訪れないだろう。待っている時間そのものががないかもしれないのだし。
だから完璧を目指さず、できることをやる。できることをやり遂げれば、それ自体の満足はあるはずだ。完璧じゃないからと、何も行動を起こさなければ、後々、何もしなかったと悔いが残るだけになってしまう。完璧主義をやめて、できることをやったほうが楽しい人生になるんじゃないか。
アグネスは言う。夕日を見られなかったと悔やんでいるうちに、一番星を見逃してしまうのは残念だ。美しいフレーズだ、なにかの慣用句なのだろうか。後悔に拘泥せず、これからに目を向けよう、それがハッピーに過ごせるということなのでしょう。前向きになれるでしょう。それが、アグネスがいつまでも若々しくアクティブで輝いて見える理由じゃないかな。
私達もアグネスを見習って、できることからやってみよう。すこしだけ、アクティブに行動を起こしてみよう。なに、我々老人だけの話じゃない。若い方も同じだよ。いつか、なんて言わず、今、始めてみよう。今、を大切に生きてみよう。
”今”を大切に
こんなことを力説するのは、この年になって気がついたから。”いつか”なんて、ないんだって。いま、ここ、がその”いつか”なんだって。
そう言えば、先達は皆、おっしゃっているんですよ。水木しげる先生も、谷川俊太郎先生も、内田樹先生も。
”いつか”のために、今、艱難辛苦我慢して耐えて耐えてっていうのは、今、を大切にしていないことじゃないか。今、ここ、こそを充実して過ごすのがハッピーじゃないのか。どこかにゴールがあるのではなく、今、自己刷新の歩みを続けることこそが人生じゃないのか。
充実させるべき時間を、それに気づかずに過ごしてしまった老残の身として、若い方に伝えておきたいのです。
大切な時間
育児に日々奮闘中の皆さん。一説によると、私達の一生の中で、子供と一緒に過ごせる時間はトータルで7年ほどだというのです。たったの7年ですよ、平均寿命が80年を超えているというのに。人生の一割にも満たない。
育児って大変です。イライラします。生活に追われ育児に追われ、周りを見渡す余裕もなく、ただただ疲れ果てているかもしれない。早く開放されたいと思っているかもしれない。ただただ、辛いだけの、まるで罰ゲーム(だから、一人で抱え込まず、助けを求めて良いのですよ、っていうか、積極的に助けを求めましょう*)。うちの通院メンバーも育児のまっただ中で苦闘している人も少なくないし、筆者なんて子供を抱きながら「天白川に放り投げるぞ!」なんて喚いていたくらいですから。
でも子どもたちが離れた今になって、あの頃が、彼らと過ごせた大切な時間だったのだろうって思い返すんです。まあ、今だから、辛かったことは忘れてしまって、そう思うだけなのでしょうが。
*霊長類学の泰斗山極壽一先生によると、霊長類は家族単位で生活するもの(ゴリラなど)、共同体を形成して生活するもの(チンパンジーなど)に分かれるそうです。ところが私達人類は、家族と共同体を両立させた、稀有な霊長類なのだとか。育児は家族の課題であると同時に共同体/社会の責任でもあるのです。
より良く生きる
”今、ここ”を大切にしたい。高次脳機能障害そのものについての指導内容ではないのだけれど、筆者の診察室の目標は、一人の社会人として尊重される存在としてハッピーに生きていくこと。そのために、つまり、より良く生きるために大事なことと考えて、みなさんと共有すべくアップしてみました。
*東洋経済オンライン アグネス・チャンさん。70歳になった今「完璧を目指さなくなった」理由――限りあるこれからの時間を大事に使うためにしたいこと
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