突然完成するパトレイバーEZY(ネタバレなしでFile 1感想)
ああもう待望の『機動警察パトレイバーEZY File 1』の劇場公開がついに始まりまして、さっそく映画館へ観に行ってきました。公開初日に劇場で観るなんて、初めての経験です。
※タイトル画像は公式サイトより引用。
これまでのパトレイバー(前説)
『機動警察パトレイバー』は、前世紀・1980年代終盤からOVAやTV、劇場で展開されてきた人気アニメシリーズ。
産業用ロボット「レイバー」による犯罪を取り締まるために設立された警視庁特車二課のパトレイバー(パトロールレイバー)の活躍を描くロボットアニメ、と見せかけて人間ドラマ重視の作風が評価され語り継がれてきた。
『EZY』は時を経て製作された正統後継作として熱烈に期待される反面、パトレイバーに影響を受けた作品が数多く輩出された現代においては、20世紀当時には持ち得た「斬新さ」を維持できないであろうことを不安視される。
果たして、蘇っては散ってきた数多のリブート作品群に倣い、シリーズの絶命、永遠と思えた青春の日々の終わりをついに突きつけられてしまうのか、否か。
全9作からなる『EZY』、そのはじめの3エピソードのお披露目となる「File 1」。公開初日となった5月15日、劇場ロビーで静かに入場開始の時を待つ亡者の如き者たちの顔に浮かんでは消える濃淡だけは様々なグレーな表情を一言で表すなら、それは、ただ「危惧」としか表現しようのないものであった。
1話目は伝統的な「相撲」
第1話は、大雑把にいえば町で起きたトラブル解決のために第2小隊が駆り出される「ふつエピ」。かなりスタンダードな内容で、ちょっとした人間ドラマとレイバーVSレイバーの格闘戦が描かれます。
明らかにパトレイバーを知らない人が置いて行かれないようにする導入回なので、従来のファンが期待する「いつもの(意外性)」はありません。まだ馴染みのない新キャラクターたちに感情移入できないぶんでしょう、メカアクションが強め。
昔のOVAやTVシリーズと違うのは、その後の劇場版で「熱く」なったBGMを引き継いでいることでしょうか。染みます。
さすがの伊藤和典さん脚本で、緩急のあるシナリオと相まって飽きさせない展開が続くのですが、この1話目だけで「大絶賛!」とはならないんじゃないかなという印象。劇場だから逃げられないけど、TVで観てたらスマホいじっちゃう人は少なくないかも。
現代人が強い関心を持って「相撲」をみることの難しさに似ているかもしれない。
2話目で突然の「完成」
ガチャガチャした1話目が終わり、2話目は静かな時間の流れのなかでの物語。劇場では1話目で寝ちゃったおじさんのイビキが響き渡っていました……。
とってもお気の毒。だって2話目が最高だったから!
ネタバレなしなので展開についてはいっさい書きませんが、従来シリーズの「いつもの」と見せかけた「いつもの」であり、新キャラクターたちへの馴染みが深まるととともに、決して不自然に過去作を持ち出すことなくファンサービスもたっぷりという奇跡の展開。
時を経て作られた新キャラによる新シリーズに対する「不安」が2話目でいきなり払拭され、『EZY』としての「突然の完成」をみました。
まあ個人の好みもあるので、未見の方の期待を高めすぎるのも良くありませんが、個人的にはパトレイバーシリーズ全体の好きなエピソードランキングの最上位級。
「良い出来だな~」と感心して涙するのはスイートプリキュア以来です。
第3話は「歴史」!?
File 1最終話となる第3話は、特撮映画の撮影に第2小隊が協力することになって……という昔のOVAシリーズにありそうなエピソード。
そろそろ落ち着いてきて、冷静に観劇。
脚本の伊藤和典さんが90年代のパトレイバー終了後に『ガメラ』シリーズに参加した経験が活きているのかな? などと背景が気になります。作中も作外も、ああ時間が過ぎたんだな~と。
かつて中学生のころに出会ったパトレイバーが見せる意外な展開は、無邪気にいっしょに遊ぶ友達のようであると同時に、常識や予定調和に捉われなくていいことを教えてくれる先生のようでした。
現在、さまざまな社会的・政治的問題により建設現場が長期に渡って停滞するさまを見かけます。ぼくらはかつて見た未来に生きているのに、その現場にはレイバーの姿がない。停滞する建設現場を見るたびに気になっていたその違和感は、決して産業用ロボットの発展の問題ではなく、なにかほかに欠けているものがあることを示しているのではないでしょうか。
なんてめんどくさいことも考えてしまうけど、帰途についた皆の表情は決してグレーではなかったと思う。
File 2も、楽しみ。
(つづく)
