見出し画像

七人の婆、富山を旅して伏流水に感謝する。

ハマチ、アオリイカ、甘えび、ウスバハギ、カンパチ、バイ貝、紅ズワイガニ、カイワリ、白えび、炙りカマス。旅の地で「富山湾鮨」を食す。

現地でなければ食べられない予約必須の鮨と聞き、慌てて予約した。「カウンター席しか空いていないけど、いいですか?」の問いに「田舎者ですが、カウンター席に座ってもいいですか?」と逆に問うて笑われるぐらい山国育ちゆえ、初めて目にするネタもあり、じっくり味わうというよりは、珍しいが先行してしまう。

それでも「七人の婆」は、うわぁ、うふ〜っ、う〜ん、うんうんと、おもいおもいのため息をもらしながら、舌触りや歯ごたえ、口の中でとろける様を、どうにか言葉にしようとやかましい。

そんな我々に大将は、富山湾の話をいろいろと聞かせてくれた。地震後、白えびがまったく捕れなくなったときのこと。最近になってようやく店自慢の白えびの天ぷらを出せるようになったこと。そして、富山湾の海底には栄養豊富な伏流水が湧いているから、おいしい白えびをはじめ魚が捕れること。富山といえば、3,000メートル級の山が連なる立山連峰である。そして広い田園地帯。大学教授に教えてもらった請け売りだけどねと言いながら、

「富山の陸地に降った雨や雪が伏流水になるんだけど、富山湾に湧き出すまで何年かかると思います?」
「えー、もしかして何十年、とかですか?」
「少なくとも、80年はかかるそうですよ。俺は今年80歳だから……」
「伏流水と同い年ですね」
「ほんとだ、俺が生まれた日に降った雪かもしれないな」

アハハと皆で笑い合う。
なんだか、海底に吹き出す伏流水が見えた気がした。






いいなと思ったら応援しよう!

ほよこ 今日も読んでくださって、ありがとうございます🐾