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気づかれないように、そっと

この時期、庭の平和は三日ともたない。
一気に緑が増えたなぁと思ったら、ヤブガラシの仕業だ。ゴイゴイ伸びて、周りの庭木や草花を絡めとっていく。ヤブガラシに負けないのは、ドクダミくらいだ。こちらもジワジワと勢力を拡大する。

先日、ドクダミやヤブガラシは決して引っ張ってはいけないという説を目にした。根に刺激を与えると、かえって新しい芽がいくつも出てしまうとか。もしや、仇とばかりに引きちぎったり、ひっこ抜いたりしたせいで、増やしていたのかもしれない。恐ろしい。

気づかれないように、そっと、根元から切る。
それがコツらしい。

実践してみた。
大事なものを落とした人みたいに、茂る葉をかき分け根元を探る。
そもそもこの小さな庭に地面が見えないほどひしめき合っている植物を、なんとかしたほうがいいと思わなくもないが、それは置いておく。

ドクダミは、まぁ、いい。問題はヤブガラシだ。根元までたどるのがもどかしい。ついつい引っ張ってしまう。グルグル絡まった触手のようなツルを引き剥がしながら、たどる。目を凝らし、限りなく地面に近づいていく。
これか? これだ! そっと、そっとね。パチリ。そんなことを繰り返す。

長く伸びたものは、腕に巻きつけながら進む。土と水さえあれば、どんな小さな切れっ端でも根付いて新しい芽を出してしまうのだ。慎重に扱わねばならない。なんと、隣の家の境界線の向こうからやってきた強者までいる。仕方がないので、できるだけ手を伸ばして切る。一応、そっとね。

庭に置かれたベンチに腰をおろし、ふへぇ。そうなのだ。狭い庭なのにベンチまで置かれている。一体誰が置いたのだ。わたしではない。しばらくぼうっとする。そういえば、初めてベンチに座ったかも。これはこれでいいな。こうして作業の途中で腰をおろすことも、考えてみればなかった気がする。わたしったら、いつの間にか、余裕じゃない?

と、近所のおばあちゃんの顔がぽっと浮かんだ。今年八十一歳のおばあちゃんは、二百本のきゅうりを一人で栽培している。毎朝三百本ぐらいのきゅうりを収穫して、箱詰めして、軽トラで市場へ運ぶ。朝目覚めたら、ちょいと煎餅でも齧りながら畑へ向かう。いつ会っても元気でニコニコしている。

わたしとて、庭仕事に手を出すようになった頃はマックス一時間だったのが、今は二時間ほど動けるようになってすごいと思っていたのに、ですよ。

そんなことを思ったところで、今日はここまで。手袋を外す。ついでに玄関先を掃いておこうと思いつく。掃きながらふと見ると、箒を持ったその手の甲に……うまうまと、わたしの血を吸い、まんまるになっているヤツがいた。気づかれないようにそっとって、こういうことか。






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ほよこ 今日も読んでくださって、ありがとうございます🐾