投資が上手い人は、“ゲームの勝負感”を持っている
大学時代、将棋部の友人たちと4人で、夜通しブラックジャックで賭け事をして遊んでいたことがある。
勝負感の強い彼らに対して、私は毎回のようにビリだった。バイト代はあっという間に消えた。
最初は、ブラックジャックなんて運ゲーだと思っていた。でも、それでは毎回負ける説明がつかない。
当時のルールは、親が自分と子3人にカードを1枚ずつ配り、子は親と自分のカードを見てから賭け金をベットする。その後、自分が好きな枚数だけカードを引き、カードの合計が親より21に近ければ勝ち、遠ければ負けというものだった。
当時の私は、「どうせ運だろ」と思っていた上に、かなりの負けず嫌いだった。
戦い方を知らない私は、親からの挑発や口車にまんまと乗せられ、感情的にベットしていた。
親の手札が強そうな場面で大きく張ると、一気に賭け金を失う。親もそれを分かっていて、
「ベット逃げるのか? 意気地なしだな」
と挑発してくる。
私は、まんまとそれに乗っていた。
逆に、親の手札が弱そうな時は勝てる確率が高いのだから、そこで強気にベットを増やさないとトータルでは勝てない。
でも当時の私は、
「これ以上はもう負けられない」
と弱気になってしまった。
結果、負けるべくして負けたのである。
大事なのは、
「勝ちやすい場面で大きく張れるか。勝ちにくい場面で引けるか」
なのだと思った。
私はボードゲームやトランプゲームが大好きだ。
将棋四段、囲碁1級。ほかにも、麻雀、チェス、オセロ、大富豪、バックギャモン、人狼ゲームなどを今でもよく遊んでいる。
長年いろいろなゲームをやってきて、ゲームごとの勝ち方だけでなく、共通する「勝負感」のようなものを学んできた実感がある。
ゲームで勝つには、
「相手や場の流れを見る」
「有利な局面で強く張る」
「不利な局面では引く」
という感覚が必要になる。
将棋なら、相手の玉形と自分の玉形を比較して、どちらが詰めろまでの手数が短いかを計算する。手数が短い場合、駒損して強気に攻めて手数を寄せるのか、自玉を守って手数を伸ばすのかの判断が必要になる。
有利なのに弱気に守ったら、相手にゆっくり「と金」を作られて負ける。
不利なのに無理攻めしたら、駒交換で相手に渡した駒で詰まされて負ける。
相手との形の差を見つつ、攻めるべきか守るべきかの判断が必要だ。
囲碁も似ている。
相手と自分の地はどちらが大きそうかを見る。相手の地が大きそうなら早めに割って入っていかないといけない。モタモタしているうちに確定地になって、連結されている強い石を強引にキリに行こうとしても、逆にこちらの弱い石が取られてしまう。
麻雀だって、自分の手牌だけ見ていても勝てない。相手の捨て牌やリーチを見ながら、「押すか、降りるか」を決める。それに、高い役にこだわって、危険牌を押し続ければ放銃して負ける。
そして最近、投資で利益を勝ち取るか否かも似ている面があると感じている。
例えば、長期的に見ればインデックス投資はかなり合理的だ。
投資初心者に相談されたら、私も迷わず「S&P500をNISAで積み立てればいい」と答える。無難な回答だ。
ただ正直、それだけで人生を大きく変えられる人はそこまで多くないのではないかと感じている。
投資は、複利が極めて重要だ。そして複利は、
「種銭の大きさ × 時間」
で決まる。
だから若いうちにある程度まとまった資金を作れると、その後がかなり有利になる。
だから私は投資において、
「勝てそうな場面では、少し大きく張る」
という感覚を大事にしている。
当然ながらリスクも忘れてはならない。
昔、FXで100万円以上の大損をしたことがあった。
ドルがこれだけ下がったから割安のはず、だから買おう。
逆に、これだけ上がったから割高のはず、だから売ろう。
そんなふうに細かい売買を繰り返しているうちに、資金は一気に底をついてしまったのだ。
さらに後から振り返ると、実は何もせずにそのまま持っていた方が利益が出ていたということが分かった。
自分のかけた労力や判断の多くが、むしろマイナスに働いていたことに絶望した。
そこで私は、ひとつ大きな勘違いに気づいた。
「下がったから買う」と「安いから買う」は、まったく別の話だったのだ。
下がり続けるものは、自分が降りるまで下がり続けるかもしれない。
逆に、「もう上がりすぎだろ」と思っても、強い流れはさらに伸びるかもしれない。
FXはゼロサムゲームだ。通貨の方向感をつかみにくいこのゲームは、私には向いていない。
そう思って、FXをやめた。
だけど、その手痛い経験があったからこそ、リスクを以前より理解できるようになった。
どこまでなら失敗しても致命傷にならないか。そのリスクを理解できているからこそ、ここぞという場面で強気に張ることが出来る。
攻める前に、相手に駒を渡して自玉が詰まされないか、攻めと守りのバランスを踏み込んで見極めるのと似ている。
今は、FXではなく株式投資をやっている。
株であれば、企業の成長や技術革新、社会全体の需要拡大を見ることで、ある程度の方向感は掴めるからだ。
今は、AI関連にかなり強い流れが来ていると思っている。
データセンター。半導体。冷却装置。AI需要。
私自身、Claude CodeやChatGPTを日常的に使っているからこそ、その変化を強く実感している。
1年前とは、空気が明らかに違う。2026年は、AI革命が本格的に社会へ入り始める年になるのではないかと感じている。
だからキオクシアやエヌビディアにも積極的に投資してきた。幸いにも、今のところ年収分ほどの利益を得ている。
もちろん、投資に絶対はない。
どれだけ考えても、外す時は外す。
将棋でも読み抜けはあるし、麻雀でも裏目はある。
投資なら、なおさら未来は読めない。
それでも、何も考えずに張るのと、勝ちやすい局面を選んで張るのでは、長い目で見れば結果は変わってくるはずだ。
投資が上手い人は、毎回勝っている人ではない。
勝ちやすい局面
「市場の視線が集まっているところ」
「注目されている根拠が明確なところ」
「一時的なブームではなく今後の需要が見込めるところ」
を探っていく。
その局面判断において勝てる可能性が高いところで、
普通の人より少し大きく張り、違うと思ったら早めに降りる。
ただ、それを淡々と繰り返している人なのだと思う。
私はまだ、その途中にいる。
でも、ブラックジャックでバイト代を溶かし、FXで100万円以上を失い、それでもゲームを通じて学んできた勝負感は、今の投資判断に確かにつながっている。
勝てる局面で張る。
勝てない局面では降りる。
結局、投資で一番難しいのは、知識よりもその判断なのかもしれない。
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