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ヘボ碁百景29  AIの申し子申眞諝と本因坊道策の石運びを想起させる王星昊~世界最高峰の対戦

 第31回LG杯朝鮮日報棋王戦準決勝、中国の王星昊(おうせいこう)九段(黒)対韓国の申眞諝(シン・ジンソ)九段(白)の対局です。

 申眞諝九段はここ数年、韓国国内棋戦のみならず、世界戦でも圧倒的勝率を誇り、”世界最強”の呼び声の高い棋士です。Wikipediaからの受け売りによれば😁、コンピュータ囲碁(囲碁AI)との一致率の高さから「申工智能(人工知能)」とも呼ばれるそうです。

 日本・中国・韓国の勝ち抜き団体戦なんかでも、韓国が申九段だけを残し、他全員が負けてしまっても、最後に残った申九段が日中の全員を抜いてしまって優勝、なんて風景によくお目にかかったような気がします。

 韓国からはこれまで、李昌鎬(イ・チャンホ)九段や李世乭 (イ・セドル)九段など、時代を画する”世界最強”の棋士が出ていますが、申眞諝九段もその系譜に属する一人です。

 ところが、最近その申眞諝九段の牙城を脅かす存在にまでなってきたのが王星昊九段です。このところ、世界戦なんかでも四歳下の王九段が時々申九段に勝っているので、注目していました。

 その申眞諝九段と王星昊九段が直近に行われたLG杯準決勝で激突しました。この二人が対戦した碁は、これまで一度も並べたことがなかった(それぞれの碁は並べたことがある)ので、こりゃ面白いわいと並べてみた次第です。

 世界最高峰の碁ですので、とても一介のヘボアマチュアの手に負える代物ではないのですが、まあ感想くらいは言うことを許してもらえるのではないかと思い、このnoteで取り上げさせていただいた次第です😓。どうか御寛恕を。

 さて王九段の黒番です。まず一図黒🔺が私の心の琴線?に触れました。う~ん、ここはツメではなく、つけるもんなんかと・・・・・。

                 一図

 続いて二図、黒🔺はサバキの見本みたいな手です。

                 二図

  三図ツケ、私でもこう打ちます(無理か😅)。

                 三図

 四図黒🔺まで、”チャリーン”とわかれた結果は、明らかに黒の実利が大きいでしょう。

                 四図

 五図黒🔺とは、これまた堂々とした手ですな。世界最強の申眞諝を相手に、こんな”勝ちました”という手を打てる人はなかなかいないでしょう。王九段の自信のあらわれのような気がします。

                 五図

 六図黒🔺、優勢なのにここまでいくもんですか。いや、厳しい。

                 六図

 七図白🔺とはまた怪しげな手ですな。尋常な手では勝負にならないとみた申九段の勝負手のような気がします(間違っていたらごめんなさい😆)。

                七図

 八図黒🔺の時、私ならD10と切ってしまいそうな気がします。左辺の白確定地が大きいと思うからです。しかし、そんなことをしたら黒にG10とポン抜かれ、負けを早めるだけのようです(そう言えば、江戸期の道策と安井算哲〔渋川春海〕の一戦〔算哲先〕で、白番道策が黒番算哲にわざと?ポン抜かせた有名な碁がありましたなあ~)。従って九図伸びは当然の一手です。

                 八図

                 九図

 十図黒🔺は、私なら上辺の安泰をはかって、K19と打ってしまいそうですが、白も薄いんだから、J19と渡られても怖くないという自信の現われでしょう。しかし、何せ相手は申眞諝ですからなあ。

                十図

 白もこのままでは負けなので、一眼しかない上辺の黒を攻めましたが、十一図黒🔺で白の薄みが露呈してきました。

                十一図

 十二図白🔺とアタリ、私なら間髪を入れずにJ9とついでしまうところですが😆、王九段がそんな愚形につぐはずもありません。かまわず、十三図黒🔺と出て、白バラバラです。たとえ全ての石が生きたとしても、大差で黒良しでしょう。白の投了もやむえません。

                十二図

                十三図

 申九段が繰り出す数々の技(わざ)を、正面から堂々と受けて立った王九段の名局で、完勝だったと思います。王九段の着手からは、外連味(けれんみ)のない、まさに”王道”を行くような落ち着きが伝わってきます。黒番ではありますが、石の流れから、何か、本因坊道策と本因坊秀栄のハイブリッド?ような碁の質を感じました(ヘボアマチュアの感想です😅)。

 ともあれ、囲碁界における”覇者交替”を思わせるような一局でした。


    第31回LG杯朝鮮日報棋王戦準決勝 黒 王星昊  白 申眞諝

黒中押勝ち

※尚、王九段はこの後決勝で、韓国の申旻埈(シン・ミンジュン)九段を2勝1敗で破り、優勝しました。

※参考譜

 本因坊道策と安井算哲(後の渋川春海)の御城碁の一局です(天和二年  〔1682〕)。算哲先で、算哲が参考譜1🔺とあてたところ、道策は  参考譜2🔺と切り、参考譜3🔺とポン抜きを許してしまいました。右  辺の実利が大きいとはいえ、現代の互先の碁ではさすがにポン抜いた黒  がいいのでしょうが、道策は算哲の力量を見切っているので、ここは実  利を稼いだうえで、まあボチボチ追いついていけばいいわ、という気持  ちだったのでしょう。事実、この碁は白十五目勝に終わりました。

                参考譜1

                参考譜2

               参考譜3

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