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選挙の投票先を決めるとき、どんな情報は「無視」した方がいいのか?

まもなく選挙ですね。私は割と選挙を楽しんでいる方で、結果がどう転んでも、一種の祭りみたいな感じで。昔は、開票速報を流しながらテイクアウトした料理を食べ、合間に本を読むみたいなことをやっていました。

ウェルベックの『服従』の序盤にそういうシーンがあって、「こういう楽しみ方をしている人ってほかにもいるんだ!」となった覚えがある。出来事の推移を見守ることの不思議な快があるので、このシーンは主人公と一緒に選挙結果を見守る感じがあった。

ちなみに、フリーアナウンサーの磯貝初奈さんも中学の頃から選挙が好きだったと言っていて、「おお、ここにもいた!」となりました(↓)


インタビューや文章で断片的に書いてきたことではあるのですが、選挙の時に気を付けた方がいいと思うことをいくつか書きます。政治的な立場にかかわらず使えるコツです。

それは、「世間や政治家、メディアに関心の主導権を渡さない」ということです。言い換えると、世間に自分の関心を乗っ取られないこと。

そのために必要なのは、ある種の情報を(意識的に)「無視」することだと私は考えています。「無視」という言葉が強ければ、重みづけを下げる、優先順位を意識的に落とす、ということとして読んでください。

自分にとって重要なものを忘れて、何にでも関心を持つことは実質的に無関心と変わらないと私は思っています。


1.自分の関心事に直結しないものを「無視」する

そもそも、選挙で一番大事にするべきは、自分の関心事をはっきりさせることだと思います。

自分の関心事とはなんでしょうか。商社に勤めている人は関税や貿易、外交かもしれないし、高齢の家族や持病を抱えている人は医療政策かもしれない。子どもがいる人や教育関係者は、教育政策や科学技術政策かもしれない。自分は地道に稼いでいて、その税金を役立ててほしいという思いがある人にとっては、自民党の組織的な裏金問題が最優先課題かもしれない。

自分がセクシュアルマイノリティだったり、セクマイの友人がいるなら、同性婚やその他の関連政策が最も大事なもののひとつかもしれない。失業者なら失業対策や雇用充実に関わる何かかもしれない。出自が豊かではないなら、貧困対策が大事かもしれない。

昔見たパレスチナ映画が忘れられなくて、ガザに対するアクションを明確にしている政治家が多い政党でなくては支持できない、みたいなこともあるかもしれない。

これは人によって違っていいものですが、自分にとって「これだけは譲れない」という、2,3の領域を設定しておくことです。あまり多すぎると結局同じなので、最優先するのは、2,3くらいの論点に絞るのがいいです。

完璧に納得できる政治家や政党を見つけようとするよりも、「ここだけは絶対に譲りたくない」という自分の暮らしや根本的な価値観につながるポイントをはっきりさせること。

選挙事務所でボランティアスタッフをしたことがあって個人的なつながりを感じているので、Aさんを応援するというのも、自分の根本的な価値観の表明であるという意味で、これはあっていい判断だと私は思います。(あまり好まれない例なのですが、私は十分理由になっていると思います。)

優先順位をつけて、ほかの論点は、二次的に大事なものとしてとっておくこと。この優先順位をはっきりさせるという単純なことを、意外にも多くの人は怠っていて、結果として、ある政党や政治思想のパッケージ化された制作や意見に自分を合わせてしまいがち。

この作業は、実のところ、自分の実存やアイデンティティに関わりうる論点と、そうでない論点を腑分けする作業に相当している。「自分の実存」「自分のアイデンティティ」に直接関わる論点に対しては敏感になり、多くを調べ、熟慮するということをやるべきだし、そうあることが望ましい。

しかし、そうでない論点には、メンツやプライド、自尊心を巻き込まず、ごく冷静に「議論の対象」として扱い、引いてまなざしてもいい。ここの区別をつけなくては、結局自分で考えたつもりで、誰かの意見の勢いになんとなく流されたり、誰かの政策のパッケージに漠然と合わせたりするだけになる。これは問題だろうと思っています。

(自意識やアイデンティティの問題を肥大化させてあらゆる政策に、「自分のアイデンティティへの攻撃」として反応するな、ということを暗に主張してもいます。それは陰謀論やナラティブに絡めとられているだけですよね。)

コツは、「自分が考えるべき大事な論点」と、「追加的に考える論点」に分けることです。この重みづけを曖昧にしないこと。前者を肥大化させたり、いきなり細かな優先順位をつけたりすると、結局優先順位が漠然としてくるので、まずはざっくりと二分し、「自分が考えるべき大事な論点」には2,3のみをカウントすることをおすすめします。

「大事なこと」を増やしていくアプローチが微妙なのは、政治家やメディア、SNSの世間みたいな何かに自分の関心を曖昧にされる可能性があるからです。普通に考えて「大事でない論点」なんてないわけですよね。政治のイシューなんて特にそうです。全部大事だ!と重みづけするのは、何にも価値を置いていないのと機能的に等価です。

だから、世の中の情報から一旦距離を置き、自分の関心と接続するイシューを「2,3」と絞ってみること。「ここだけは譲らない」というポイントを自覚する経験を持つことです。ブレないためにそうするというより、判断に重みづけをつける練習としてこのように書いています。(長期的に見て価値観や判断がブレているかどうかなど、どうでもいいことです。)

大事なのは、実際に「2,3の論点」かどうかではなく、それだけ狭い穴に糸を通そうとするプロセスで、自分の気になる話題にあれこれ優先順位をつけることであり、その練習をすることです。

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