言葉が出てこなかったあの頃と、ぽとりと落ちた一粒の種。
金曜日の夕方。 まもなく夜がやってくる頃。
今日も一日、お疲れさまでした。
今夜0時、ラジオ『くつろぎのおと』第20回が産声をあげます。
そんな公開直前の静けさの中で、
昨夜の自分の姿を少し、思い返していました。
昨夜は、深夜まで動画の編集作業。
特に、YouTubeのサムネイルをあれこれと思案しているときでした。
画面の中の色や文字と睨み合っているその瞬間に、
僕の中に、新しい「歌詞の種」がひょいと顔を出したのです。
まだ皆さんにお見せしていない、構想中の物語。
その大切なカケラが、昨夜のあの時間に生まれました。

僕にとって、番組を作る、あるいは何かを表現するということは、
日々に紛れて、霧散しそうになってしまう淡い想いや出来事を、
ぎゅっと、色や形や言葉に変えていく作業です。
じっくりと、時間をかけて。
その過程でぐんぐんと濃度を増した色や想いが、
あるとき、心の奥から「ぽとり」と、
一粒の言葉になって滴り落ちるのかもしれません。
そんな一粒のきらめきを手にしたとき、
僕はきまって、あの頃の自分を思い出してしまうのです。
あんなに言葉を求めていたのに。
あんなに、自分の想いを誰かに伝えたかったのに。
出口を見失った暗闇の中で、
ただの一粒も、言葉を紡ぎ出すことができなかった、
あの頃の僕を。
悩むしかない、時間がありました。
ただそれを受け入れるしか、道がない夜がありました。
うまくいかない時は、
「ああ、今はうまくいかないんだな」と、
格好をつけずに、そのままの重さで受け止める。
そうして、
思いきり落ち込んで、
誰かを妬んで、
どうしようもなく自暴自棄になって。
ドロドロとした感情も、涙も、絶望も、
それもこれも、すべてが綺麗に尽き果てたその後に。
からっぽになった心の底から、
なんの前触れもなく、ひょっこりと、 新たな芽が出てくる。
生きるって、表現するって、
案外そんなものなのかもしれないなと、今は思うのです。
底の底まで沈んだからこそ、 次に生まれる芽の青さが、こんなにも愛おしい。
昨夜、僕の心にぽとりと落ちた小さな種を、
これからまた、大切に、大切に育てていこうと思います。
今夜24時。
そんな僕の日常と出会った優しさとが、
そのまま音になった第20回が公開されます。
言葉が出なくて苦しんでいるあなたも、
明日へのエネルギーをじっと蓄えているあなたも。
今夜はどうか、そのままのあなたで、
このベンチに腰掛けにきてくださいね。
あなたの夜が、穏やかな守られたものでありますように。
遠くに行けない放浪者 こと 深瀬人寛
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