書き初め。
短いエッセイです。
僕の職場では毎日素敵なことが起こります。
ハンカチのご用意を。
ある年始、職場の子どもたちと書き初めをすることになった。
文鎮や硯の準備もほどほどに終わった頃、
ある男の子が言った。
「先生、書き初めってなに?」
「今年頑張りたいことを書くんやで。」
「えぇ〜わからん!」
「そっか、急に言われても難しいよね。じゃあ好きなこと書いてみ。なんて書きたい?」
「んん〜、、、おじいちゃん!」
普通なら笑ってしまうところだが、私には笑えなかった。この子が年末に大好きだったおじいちゃんとお別れしたことを知っていたから。
「そうか、じゃあおじいちゃんのこと思い出しながらこの紙に書いてごらん。」
彼の筆が迷いなく半紙の上を駆け巡った。
「先生、できた!」
満足そうな笑みを浮かべる彼の顔が印象的だった。
彼が大好きなおじいちゃんを想って書いた書き初め。どんな優しい字体であろうか。
半紙に目を移した。
竹
馬
「えぇ〜!?」
僕のダイアン津田のような声が響いた。
どうしたどうした!?
おじいちゃんは!?
大好きだったおじいちゃんどこいった!?
「え、これでええん?」
「うん!」
彼の笑顔にそれ以上の言葉は要らなかった。
書き初めの意味、わかってたんやね。
その年、彼が竹馬に乗る姿を一度も見ることはなかった。
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