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名古屋には、まだ武士が住んでいるのかもしれない


名古屋に住み始めて数カ月。ある日、夫が犬の散歩から帰ってきて言いました。 「家の近くに武士が住んでいる」。なにを言っているのか分かりませんでした。よくよく聞いてみると、一緒に散歩していた近所の人に「ご無礼(ぶれい)します」と言われたようです。これは標準語でいう別れのあいさつ「失礼します」にあたります。夫は知らなかったんだなと思ったら、思わず、くすっと笑ってしまいました。
 
実は、この去り際の「ご無礼します」は県外の人には衝撃らしく、名古屋から去る新幹線の中でも「名古屋に武士がいる」と会社員たちが興奮気味に話しているのを聞いたことがあります。地域に根付いた言葉なので、生粋の名古屋人…特に高齢の方と話さないと出てこず、転勤者が耳にする機会は少ないかもしれません。ただ、実際に自分が言われると、いきなり江戸時代にタイムスリップしたような気持ちになります。
 
「ご無礼します」は言葉の印象通り、武家文化がルーツとされる言葉です。分類としては「丁寧なあいさつ」にあたるそうですが、70代以上の人は息を吐くように使うものの、その子ども世代になると使わない人も増えます。これは会社の場合、「お先に失礼します」と同じように「お先にご無礼します」というかというと言わないようです。単独で使用するのが正しい使い方。
 
ちなみに、この言葉にどう返すのが正解か、現役の使用者数人に聞いてみました。「何だろう?」と長く考えてくれたものの、「はーい、かな?」と明確な答えは出ませんでした。言いっぱなしで去っていくことも多いので、相手の返答はそこまで気にしていないのかもしれません。
 
ぜひ、名古屋に住むことになったら、この立派な名古屋弁を使いこなしてみてください。


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