地獄に落ちた私に羊や阿弥陀如来から救いの手が差し伸べられた。その結末は?
タイトル: < レ・ミゼラブル > (寓話的ショートショート、430字)
生前、豚肉や鶏肉を食べるたびに、どこか胸の奥が痛んだ。
死後はきっと地獄に落ちるのだろうと、半ば諦めてもいた。
その予感は違わず、私は血の池に落ちた。
だがほどなくして、暗雲の隙間から一本の、白い毛糸が垂れてきた。
羊肉を一度も食べたことがない私を、哀れんだ羊の慈悲だったのかも
しれない。
毛糸を登る途中、下から多くの亡者たちが這い上がってきた。
私は『蜘蛛の糸』の顛末を知っていた。だから、
誰にも「降りろ」とは叫ばなかった。
ようやく雲の端に手をかけた、その瞬間。
ぬっと現れた丸々と太った豚と、羽ばたく鶏が、冷ややかに
私を突き落とした。
再び血の池に戻されると、今度は慈悲深い阿弥陀如来が大きな「網」を垂らしてくれた。
私は 必死にしがみつき、天上まで登ろうとした。
しかし、その網の目には、恐ろしく巨大な蜘蛛が待ち構えていた。
粘り気のある糸に巻かれ、私は音もなく貪り食われた。
翌日。蜘蛛は血の池の底へ、ぽつりと大きな糞を落とした。
それこそが、私であった。 レ・ミゼラブル。
ー 終り ー ご高覧ありがとうございました。(^^♪
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