あなたの愛犬は体育系 それとも頭脳系?
タイトル: < 語学犬ポチ > (ショートショート、622字)
梅雨明けの空は、洗いたてのガラスみたいに澄んでいた。
「いよいよ今年も残り182日か、残りの日数のほうが
一日少なくなったなぁ」
カレンダーをめくったばかりの私は、そんなことを思いながら
久しぶりにポチと散歩に出た。
角の先で、友達が犬を連れて歩いてくるのに出会った。
雑種らしいが、姿勢も毛並みも立派で、まるでショーに出る犬のようだ。
「この子、毎日筋トレしてるからさ。逆立ちだってできるんだぜ」
友達が言うと、犬は本当にスッと逆立ちしてみせた。引き締まった体躯が
いかにも運動神経抜群という風だ。
負けていられない。
私はポチに向かって言った。
「うちのは運動は苦手だけど、頭脳派なんだ。ポチに問題をだしてみるよ」
「ポチ,わかるかな。今年の経過日数から残りの日数を引いた数──つまり、183引く182の答えは?」
ポチは胸を張って「ワン」と答えた。
友達は少し悔しそうに眉をひそめた。
「じゃあ、これはどうだ? “回れ”って言うと、何回でも高速スピン
するんだ。そっちのポチに、この身体能力は真似できるかな」
私はポチの尻尾をちょこんと踏んだ。
ポチは「キャーン!」と鳴いた。
友達は呆れた顔つきで
「なんだ、ただ痛がって鳴いただけじゃないか」と言った。
私は首を振った。
「違うよ。ポチは “can’t(できない)” って言ったんだ。
つまり──」
友達が目を丸くする。
「『そんな肉体労働みたいな芸はできません』って、英語で丁寧に断ったんだよ。うちのポチは、芸より語学が得意なんだ」
ポチは誇らしげに尻尾を振った。
ー 終り ー ご高覧ありがとうございました。(^^♪
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