レース中の伝書バトの群れが南へ飛んでいた。そのとき、事件が起こった。
タイトル: < 金メダルを捧ぐ > (ショートショート、357字)
空を見上げると、伝書バトの群れが北から南へ一直線に飛んでいた。今日は年に一度のレースの日だ。
そのとき、一羽がドサッと落ちてきた。首から上が無い。
この辺りではハヤブサがよく見られる。縄張りに入ったハトが
襲われたのだろう。
足には個体識別のリング。電話番号が刻まれていた。
電話をかけると、つれない声が返ってきた。
「送り返さなくていいです。処分してください」
夕方、ラジオから優勝者の誇らしげな声が流れた。
「うちのハトは、どんな距離からでも必ず帰ってきます。
今回も一番に戻ってきました」
その言葉を聞いた瞬間、昼間の光景がよみがえる。
“戻れなかった一羽” が、もし襲われていなければ、優勝していたのは
あの子だったかもしれない。
私は花壇の中央にそっと土をかけた。
一番早く、天国へ辿り着いたハトに、せめて心の中の
金メダルを捧げるように。
ー 終り ー ご高覧ありがとうございました。(^^♪
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