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何もできなかった日に、名前をつける|今日は凪だった、それだけでいい

こんにちは、ゆきのです。


梅雨の晴れ間は、どこかよそよそしい。

雨でもなく、晴れでもなく、光だけが薄く届いている。

何かが始まる感じも、終わる感じもしない。
そういう空が、今日はずっと上にあった。


窓を少し開けた。

風は来なかった。
でも、外の空気がかすかに動いた気がした。
額のあたりが、ほんのひと呼吸ぶんだけ、やわらかくなった。


今日は、何もできなかった。

正確には、何かをしようとしていた。

布団を畳もうとして、やめた。
返信を打ちかけて、止まった。
台所に立ったけれど、そのまま戻ってきた。

気づいたら夕方になっていて、今日という時間がどこかへ行ってしまっていた。
 


「また何もしなかった」という声が、どこかから来た。
 



なぎという状態がある。

海が静まりかえって、波が立たない時間のことを、そう呼ぶ。
水面は動かず、何も起きていないように見える。

でも海は、そこで消えているわけではない。
ただ、今はそういう時間なのだと、静かにそこにある。


何もなかった日と、凪の日は、違う気がした。

凪は、空白ではなかった。

動かないことで、ちゃんとそこにあり続けている状態のことだった。


目の奥が、少し重たい夜がある。
鼻腔のあたりに、今日の湿気がまだ残っている感じがする夜がある。

それは、今日もここにいた、ということだった。


窓を開けた手が、まだ少し冷えていた。

風は来なかったけれど、外があることは、わかった。


今日は凪だった。

それが、今日の名前でいい。


ゆきの
 



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