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過去を思い出して立ち止まる夜に|青い梅を、まだ摘み取らなくていい

こんにちは、ゆきのです。


五月の店先に並ぶ青い梅は、手のひらの中でひんやりしています。
まだ固くて、香りも浅くて、口に入れたらきっと酸っぱい。

その青さを見るたび、私は「まだそのまま」の時間のことを思い出します。


過去の出来事にも、そういう青さが残ることがあります。

もう終わったはずなのに、
思い出すとまだ少し酸っぱくて、
胸の奥がきゅっと縮む。


言われたこと。
言えなかったこと。
止まってしまった関係。
戻れない場面。

「あのとき、別の選び方があったのではないか」と、
夜になってから静かに浮かんでくることがあります。


早く熟させたくなる夜が、あります。

意味を見つけて、教訓にして、
「今では必要な出来事でした」と言えるところまで持っていきたかった。

でも、本当はまだそこまで行けていないのに、
言葉だけを先に進めようとすると、余計に苦しくなることがありました。


青い梅は、まだ青いからきれいです。

すぐ食べられないから価値がないわけではない。
梅干しにも、梅酒にも、シロップにも、
それぞれの時間が要る。

過去も、それに少し似ているのかもしれません。

急いで意味づけなくていい。
急いで許さなくていい。
急いで「よかったこと」にしなくていい。

今はまだ、青くていい。



その夜、私は梅をざるに並べて、水気をふき取りました。
何も変わらないようで、
表面のしずくだけが、少しずつ乾いていく。
その時間が、静かで、少しだけほっとするようでした。


過去も、そんなふうに扱われていくことがあるのだと思います。
無理に言葉にしなくても。

今夜中に決着をつけなくても。

ただ、まだここにあると知っているだけでいい時間。


もし今、まだ胸の中で青いままの出来事があるなら。

それを無理に摘み取らなくていい。

台所の隅にざるを置いておくみたいに、
今夜はただ、そのまま置いておくこともできます。


青いままでいるものには、青いままの季節があるのかもしれません。

それは遅れているのではなく、
まだ思い出すだけで胸が縮む、その季節の中にいるだけかもしれません。



ゆきの


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