見出し画像

気持ちがなかなか切り替わらない朝に|伏せたコップのままで

こんにちは、ゆきのです。


朝の台所で、
洗いかごに伏せたコップを見ることがあります。


昨夜のうちに洗ったはずなのに、
底のふちに、まだ小さな水滴が残っている。

窓から入った朝の光が、そこだけを静かに照らしている。


もう乾いていると思っていたのに、
指で触れると、ほんの少しだけ冷たい。


人の心にも、
そういう朝があるのかもしれません。



誰かと話したあと。

言えなかった言葉を、胸の奥に持ち帰ったあと。


布団から起きて、顔を洗って、今日の服に袖を通しているのに、
気持ちだけが、まだ昨日のどこかに伏せたままになっている。


頭では、もう切り替えたほうがいい気がしている。


でも、喉のあたりに、うすく何かが残っていて、
返事を考えようとしても、言葉がうまく重ならない。


そんな朝があります。

「まだ気にしているのかな」

そうやって、自分の心を急いで棚に戻そうとすると、
かえって手の中で、すべりそうになることがあります。



伏せたコップは、
止まっているように見えます。

でも本当は、
内側に残った水を、少しずつ落としている途中です。


音も立てずに。
誰にも急かされずに。

次に使われるために、少しずつ乾いている。


残っているしずくは、遅れではありません。

そこに、たしかに水が注がれていた名残です。


心に残るものも、
昨日、あなたの中を通っていった気持ちのあとかもしれません。


大切にしたかった言葉。
飲み込んだ気持ち。
うまく渡せなかった返事。

それらは、無理に拭い去るものではなく、
心の内側に、まだ水が通っていたしるしなのだと思います。

だから今朝は、
無理に切り替えなくてもいいのかもしれません。


伏せたコップを、すぐ棚に戻さなくてもいいように。
心も、まだ少し乾いている途中のままでいい。


もし今朝、台所に立つ時間があったなら。

洗いかごの中のコップでも、
自分の手のひらでも、
朝の光にふれているものを、ひとつだけ眺めてみる。


拭き取らずに。

急がずに。

ただ、そこに残っているものを見るだけでも。


今日は、伏せたコップのままで。


棚に戻るのは、もう少しあとでも。



ゆきの
 



【ココミチの「心の図書館」へようこそ】

この記事が、あなたの心に少しでも余白を届けられたなら幸いです。
「ココミチ」では、これからも心のゆとりと小さな気づきをお届けしていけたらと思います。


🌸 次に読む記事を探すなら
【迷ったら、まずここへ】

あなたの今の気持ちから、次の一冊を見つけられます。


いいなと思ったら応援しよう!