憂鬱な診察|さらに手術が必要かもしれない話
【第10話】
翌週の金曜日、またあの大学病院へ向かった。
今日こそちゃんと手術の説明があるはず、
と少し気合いを入れながら。
わらび兄ちゃんとあまねちゃんも、
またわざわざ来てくれた。
申し訳ないなあ、と思いつつ、
心強いなあとも思った。
(さすがに今日はカンファレンス終わってるよな…)
そう思いながら診察を待っていたら、
やっぱり1時間以上かかった。
相変わらずやなあ、と苦笑いしながら、
ようやく3人で診察室へ。
今日は前回と違う手術科の眼鏡の女医さんが
対応してくれた。
よし、今日こそちゃんと聞くぞ、
と気持ちを整えた。
先生「子宮体がんなのか、子宮頸がんなのか
まだ断定できない状態です。
CT検査で胸に小さな影も見つかり
ましたが、
おそらく良性なので、
今は婦人科の治療を優先していきます。
状況によっては、子宮の摘出と
卵巣・卵管・リンパ節の切除も
行います」
よもぎ「そうなんですか…」
(ん?まだ決まってないの…?
さすがにまさかなあ…)
先生「手術後の後遺症として、
足がひどく浮腫む
"リンパ浮腫"や、神経への影響で
尿が出しにくくなる"排尿障害"が
起きる可能性もあります。
一時的に自己導尿が必要になる
こともありますが、
一生続くケースは少ないです」
よもぎ「え……そうなんですか…」
(ん?この会話、前もしなかったかい…)
先生「今後は婦人科の専門医たちで
話し合いを行い、どういう手術
にするか決めます。
入院中つらくなったら遠慮なく
相談してください。
では、手術の詳しい説明は入院当日に
行います。
入院日については、後日病院から
ほしのさんの
携帯に連絡が入りますので、
対応をお願いします」
(はあ?!入院の連絡??)
(……って、前回と同じ話やんか!!)
(今日わざわざ兄ちゃんたちにまた来てもらって、今日いったい何の日やったん?
手術の説明するって言うてたよねえ…?
んでカンファレンスはまだなんかいっ!)
心の中で、また盛大にツッコんだ。
さすが大きな病院は、なかなかやりよるなあ。
「手術の説明は入院当日に」って、 先週と今週きた意味ないやん!
なんでやねんっ!
呆れと脱力と、ちょっぴり笑いが混じった、なんとも言えない時間だった。
婦人科の診察のあと、今度は3人で呼吸器科へ。
先生「胸の影は11mmほどの小さなものでした。
CTでは"何かある"というところ
までしかわからないので、
次回は造影剤を使ったMRIで詳しく
調べます」
(ふ~ん…)
先生「ただ、胸にできるものは進行が遅いので、
婦人科の治療を優先して大丈夫です。
おそらく水がたまった袋のような
ものか、 "胸腺腫(きょうせんしゅ)"
というもので、
短期間で急激に悪化するタイプでは
ありません」
(…きょうせんしゅ? なんや、またよくわからんもん出てきたでえ…)
先生「もしかすると手術が必要になるかもしれませんが…」
よもぎ「手術ですかあ。わかりました。とにかく婦人科が先ですね」
先生「そうです。では後日、MRI検査の予約を入れておきますね」
(ええええっ、子宮がんの他にも手術するやつなんか出てきてるやん!!
まじかあ!!
勘弁してくれよ!何回病院に入院するねん!!)
(病院のはしご。入院のはしご。
いったいどこまで続くねん、
このシリーズ!?)
すっかり憂鬱になりながら、入院の説明を受けて帰った。
帰って相方に報告した。
よもぎ「とうとう入院やって。
しかも手術の説明、結局今日も
してくれんかってん。
おまけに肺の丸いやつも手術が
あるかもらしいわ…」
ばせお「え!!肺も手術?!んでまた
わらび兄ちゃんたち
来てくれたのに説明なかったんやあ」
よもぎ「そうよ。ほんまどないやねんって
感じよな。なかなか呆れたわ…
けどそれよりさあ、とうとう
おかんとおとんに手術のこと
言わなあかんなあ」
ばせお「それが一番大変よな!!」
そうなのだ。
子宮がん、肺の影、手術の説明はぶっつけ本番の説明。
難題てんこ盛りのこの状況で、一番の難関はそこじゃなかった。
おかんに言うこと、なのだ。
少し憂鬱になりながら…いや、かなり
憂鬱になりながら、その日は布団に入った。
次の難題は、もうそこまで来ていた。
【第11話】へつづく
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