おせち料理を作り続けるということ
わたしが自分でおせちを作り始めてからちょうど20年が経ちます。
ふと数えてみて気づいたのですが、そんなに時間が経っていたことに驚きました。
こちらは今年、2025年(昨年作成)のおせち。

黒豆や栗きんとん、伊達巻きなどの家族が好きな定番おせちは残しつつも、パテドカンパーニュや鴨のローストやマリネなど、洋風のオードブルを中心に作りました。
定番のおせちに比べて作りやすくて時間もかからず、家族からもとても好評だったのでこちらは少し改良してもうすぐレシピをまとめたいと思っています。
こちらは2017年のおせち。定番の和のおせちが中心です。

両親の実家が遠かったので、お正月は実家に帰省することはなく、私が産まれる前から母がひとりで作っていました。
母が参考にしていたレシピは、辻嘉一さん、柳原敏雄さん、辰巳芳子さん、、といった大先生のもの。
当然美味しい作り方なのですが、材料の準備から数日がかりで作り、作り終わった後のお正月には母は熱を出して寝込む、というのが毎年のパターンでした。
小さい頃からその大変さを見ていた私はそんなに大変なら作らないで買ってくれば良いのに、と思ったことも。
ですが、父が市販のおせち料理が好きではなく、手作りのおせちを本当に楽しみにしていて、趣味のカメラでたくさん写真を撮っては写真屋さんで現像し、プリントした写真をアルバムにしていました。
三ヶ日が過ぎても食べ切るまでずっと美味しそうに食べていたのでやめられなかったのだと思います。
わたしと姉は小学生くらいから少しずつ手伝うように。
覚えているのはこんにゃくを手綱にしたり、にんじんを花にしたり、栗きんとんを裏漉ししたり。
黒豆は玄関の隅の方の電気鍋で長時間煮ていた記憶があります。
就職して家を出てからも、おせち料理を作るのは母がメインで、年末ぎりぎりまで仕事をしていることが多かったわたしや姉は、早めに帰省できたら詰めるのを手伝う、くらいだったように記憶しています。
そのおせち作りをわたしがするようになったのが20年前。
その前の年の秋ごろ、父に病気が発覚し、余命を宣告され、3ヶ月も経たず、年をまたがずに急遽しました。
あまりに突然のできごとで、今でもその頃の記憶がないくらいの数ヶ月間。
残された家族全員、しばらく茫然として抜け殻のような日々を過ごしていたような気がします。
そして喪があけた次の年の年末、母が今年はおせちを作るのやめようかな、と言ったのです。
それまでそれほどありがたいと思っていなかったおせちですが、このとき、ずっと続けてきた我が家のおせちがこのままなくなってしまうのは絶対に嫌だ、と思いました。
そこでその年からは私が作る、と決めたのです。やってみると思っていたよりもおせち作りは難しく、材料の準備から下ごしらえ、当日の調理もとても1人でこなせるようなものではなくて、結局母に教えてもらい、半分以上はやってもらいながら、やっと完成となりました。
それから毎年作っていたのですが、年々私なりの簡単な作り方、手の抜き方を考えてレシピを変更していきました。
煮しめは具材をひとつずつ煮るのがお決まりなのですが、全部ひとつの鍋で煮るようにしたり、下ごしらえの大変な八つ頭は里芋に変更。
手に入りにくい魚のすり身を使っていた伊達巻きは、はんぺんを使うように。
栗きんとんも裏ごしをやめてフードプロセッサーを使うことでかなりの時間短縮と労力を減らすことができました。

結婚祝いにもらった重箱!
ずっと愛用しています。
そしていつの間にか、おせち作りは大変なものではなくなり1日あればできてしまう気楽なものになりました。
フランス料理を習い始めてからは普通のおせちだけでは物足りなくなり洋風のおせちも一緒に作るように。

奥が和のおせちで、手前がフレンチおせち。
2012年でした。
結婚してからは夫の実家にも持っていくようになり、どうせたくさん作るからと、ご近所さんの分まで6件分作ったこともありました。

そして、このおせちの作り方をおせち作りが大変だと思っている若い人たちにぜひ伝えたいな、と漠然と思うようになったのです。
もちろん、レシピ本、という形になればいちばん良いのですが、そんなに簡単にご依頼が来るわけはない、と思っていたので、私の周りの人たちだけでも伝える手段はないかな、と思って当時の自分のホームページ内に作ったのがおせちレシピページでした。
品数は多くなく、写真もおせちを作りながら自分で撮っていったものなので決して綺麗なものではなかったのですが友達の何人かから参考にして作ってみたよ、と報告をもらって、ほんの少しは若い人のおせち離れに影響を与えることができたかな、と自己満足していたのです。
おせちの本はいつか、もう少し経験を積んでから人生の目標としよう、と思っていた矢先、以前お仕事をさせてもらった尊敬する編集者さんがホームページのレシピを見てくれて、お電話をいただきました。
そのときに出版させてもらったのがこちらの本。
次の年に、さらにレシピを追加した「新装版12月31日でも間に合う簡単おせち」という本を出版してからは10年が経ちました。(現在はKindleのみで販売しています)
この本を出版してからも、毎年新しいメニューを加えてみたり、家族の好みに合わせて味付けを変えてみたり、10年をかけて自然とレシピは進化してきました。
夏に撮影する際には用意できない食材などもあったので、それらも含めて、また新しい形でまとめた今のおせちのレシピを公開できたらと思っています。
今は10年前に比べると、おせち料理を手作りする人はもっと減っているかもしれません。
市販のおせちも定番の和のおせち、フレンチおせち、中華おせち、と美味しいものがたくさんあります。わたしも自分で作りつつ、食べたいものを購入することもあります。
わざわざ作らなくても、と思われる方も多いと思いますが、おせち料理ができあがったときの達成感を味わうと毎年作らずにはいられなくなるのです。
重箱に詰めずに皿盛りにしても、自分で作ったおせち料理で迎えるお正月は高揚感があるものです。


今まで作ったことがない方がいたら、今年は1品からでも良いので、おせちを作ってみませんか?
日本の伝統であるおせち料理が、少しずつ時代に合わせて形を変えながらも、若い世代にも引き継がれていくことに少しでも貢献できたら、こんなに嬉しいことはありません。
おせちのレシピの準備ができたらまたこちらでお知らせさせてください!
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