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2026GWバイク旅行記 第2回

絶景のカルスト、絶望の瓶ヶ森、そしてギョニソ編

4月29日 未踏の四国カルスト

AIによる外交を終え、室戸岬を経由してから四国の背骨を目指してバイクを走らせていった。
2022年の四国一周の時は、足摺岬や佐田岬といった四国の「端っこ」ばかりを回っていた。だから、中央にそびえる四国カルストは僕らにとって未踏の地だったのだ

忘却のラーメン

道中やたら味噌カツラーメンの看板をよく見た。
四万十川上流に位置する四国カルストではそんな料理が流行っているらしい。
実はこのくだりは記事完成後に旅の記録として書き足しているものだ。
それくらい記憶から忘れられる味だった。

写真の供養(1380円)

絶景の四国カルスト

山道を駆け上がり、視界が開ける。
そこには、期待を優に超える絶景が広がっていた。緑の草原に白い石灰岩が点在し、突き抜けるような空がどこまでも続いていた。
更に足を進めていくと牛がいた。
空まで伸びていきそうな道があった。
僕たちは四国カルストの絶景をインカム越しに共有しながら走り抜けていった。

そして、標高1500mにある山小屋で一息つく。
ここまでは完璧だった。本当に完璧なツーリングだったのだ。

360度カメラで撮影する四国カルスト

山小屋でちょっとした休憩を終え、僕らは今回のメインディッシュである「UFOライン(町道瓶ヶ森線)」へと意気揚々とアクセルを開けた。
(鹿ソーセージドッグ美味しゅうございました。鹿なのか犬なのか。)

…しかし、四国の山はそう甘くはなかった。

絶望のUFOライン

山小屋を出発してわずか数分後。急激に視界が白く濁り始めた。
猛烈な霧である。 数メートル先すら怪しい。
さっきまでの青空が嘘のように、僕らは極寒の沈黙の中に放り出された。

山小屋を出発してわずか数分後。急激に視界が白く濁り始めた。
猛烈な霧である。 数メートル先すら怪しい。
さっきまでの青空が嘘のように、僕らは極寒の沈黙の中に放り出された。

とにかく寒い。指先の感覚が急速に失われていく。 直前に山小屋で休憩したから「行くしかないか」と腹を括ったものの、この過酷さは想像を超えていた。 何より「せっかくここまで来たのに、何も見えないまま終わるのか」という圧倒的な報われなさが心を削ってくる。

視界5m

雲上のUFOライン

ただただ寒さに震えながら霧の中を突っ切る。
しかし、境界線は突如として現れた。
霧を抜け、標高がさらに上がったその瞬間、視界がパッと開けた。

雲の上に出たのだ。 眼下には圧倒的な雲海が広がり、振り返れば、さっきまで僕らを苦しめていた霧が山の斜面を這うように飲み込んでいるのが見えた。
「報われた…!」
この瞬間のために走っていると言っても過言ではない。
これがあるから、バイク乗りは何度でも絶望の霧に突っ込んでいけるのだ。

登りがあれば下りがあることを僕はまだ気づいていない。

町道だけど険道

バイクでここまで標高の高い所を走ったのは初めてかもしれない。
標高1700mを駆け抜けていく。
岸壁はいつ崩れてもおかしくないような岩肌。
落石でガードレールが曲がっている。
バイクはいつだって生きている実感を与えてくれる。

四国の山稜線が一望できた

四国脱出

山を下り今治市内に降りてきた。
キャンプ場を探そうと携帯を開くと翌日の天気が表示されていた。

四国地方は朝から暴風と雷雨。

四国は本州と3本の橋でつながっている。
実はどれも天候によっては2輪は通行禁止になるのである。
四国は好きだ。だが、それは晴れの四国である。
我々は早期の四国脱出を検討することにした。

ライダーズハウス

しまなみ海道の入口でうどんを食べながら、今夜の宿を探し始めた。
ビジネスホテルを探すのは容易い。しかし我々はバイクで旅をしている。
旅の醍醐味として「ライダーズハウス」なるものを探すことにしたのだ。

どんな場所なのかが全く検討がつかない中、広島のライダーズハウスに電話をかけていく。気がつけば19時になっており、どこもこの時間からの受付はやっていないようだ。

3件目の電話に出たのはおじさんだった。
21時到着でも対応してくれるということで、急ぎ真っ暗なしまなみ海道を渡って広島県竹原市へ向かっていった。

ライダーズハウス『ROUTE 2』

疲労困憊で到着した我々をオーナーが出迎えてくれた。
その日の客は我々だけだったようで、色々雑談を交えながら施設の説明をしてくれた。

これまで素泊まりの宿には何度か泊まってきたが、「ライダーズハウス」と銘打たれた場所に泊まるのは初めてだった。

ウェルカムドリンク

『冷蔵庫は自由に使ってください。お水とか入れておいたから。』
ドリップコーヒーやアメニティまで完備だった。

せっかくなので、まずは喉を潤そうと共同の冷蔵庫を開ける。
そこにはキンキンに冷えた2本の水と――
なぜか2本の「魚肉ソーセージ」が鎮座していた。

ウェルカムギョニソ

水はわかる。だが、なんでギョニソ?笑
思わず友人と顔を見合わせて笑ってしまった。
ウェルカムドリンクならぬ、ウェルカムギョニソである。

オーナーのおじさんは、独特の雰囲気を持った人だった。
壁一面には、これまで訪れたライダーたちの写真がびっしりと貼られていた。
こうやって宿の案内をしながらたどり着いたライダーたちとの会話をし、自分の図鑑に加えていったんだろうなと感じる写真ばっかだった。

我々もここに加わるのだろうとなんとなく感じながら、部屋にあったレコードを聞きながら四国の酒で晩酌をして4日目の夜が過ぎていった。

今日の雨も新井が悪い。

翌朝はまた大雨だった。
おじさんは事前に伝えていた出発時間にあわせて来てくれた。
出発の準備をする姿をおじさんは手慣れた手つきで、僕らが翌朝出発する様子もカメラで「キャプチャー」してくれた。
やはり、自分も彼の図鑑に乗った気がして悪くない気分だった。

撮影会の気配を察し雨具を着ないでここまで準備した様子

(次回:第3回【勾玉と冷水】へ続く)

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