見出し画像

読書タイム 「旅をする木」(1995) 星野道夫

 星野道夫の 『旅をする木』 は、1995年に刊行された単行本を底本とした文庫本が広く読まれており、彼の代表的なエッセイ集です。
この本が刊行された後、取材に訪れたカムチャッカ半島のクリル湖畔でクマに襲われ亡くなられました。

本について

 星野道夫はアラスカを拠点に活動した写真家・作家で、『旅をする木』は彼がアラスカで暮らしながら感じた自然、人、動物との出会いを綴った随筆集です。
 タイトルの「旅をする木」は、流氷に乗って海を漂い、遠くの浜にたどり着く木のイメージから取られており、人や命の「旅」と重ね合わせた象徴的な表現です。

内容とテーマ

 ・アラスカの自然

 オーロラ、氷河、ツンドラ、白夜、流氷など、雄大な風景が描かれています。星野は「写真家」としてだけでなく、「そこに生きるひとりの人間」として自然に向き合います。

 ・動物との出会い

 グリズリー、カリブー、オオカミ、クジラなどの野生動物の姿をただ観察するのではなく、人間と動物の関係や、自然の循環の中で生きる姿への敬意がにじんでいます。

 ・人との出会い

 星野自身がアラスカに暮らし、先住民や仲間たちとの交流では、自然と共に生きる人々の知恵や価値観から、多くを学ぶ姿が描かれています。

 ・生と死、時間についての思索

 厳しい自然の中での生と死を見つめることから、人間の生き方や命の意味を考える文章が多く、特に「人間もまた自然の一部である」という意識が全体を貫いています。


特徴

• 写真家ならではの 映像的で美しい描写。
• シンプルでありながら深い哲学を含んだ文章。
• 読む人に「自然の中で生きるとは何か」を静かに問いかけてきます。

 『旅をする木』は、アラスカの自然紀行であると同時に、星野道夫の 人生観や世界観が凝縮されたエッセイ集 です。読むと、自然と人間との距離感や、自分自身の生き方を見つめ直したくなるような本です。

 とても自然や人物について描写がわかりやすく、文章だけでイメージが浮かんできます。読んでいる間、私自身がアラスカにいた感覚に陥っていました。

 この本の発刊後、彼自身がクマに襲われるといる悲劇に見舞われます。この本を読んだ後に彼の死について知った私は『旅をする木』の一部に感じました。それだけたくさん命と向き合う内容が詰まっているからです。

 次の夏にはシベリアのモンゴロイドの人々について文章を書く予定だったそうです。私自身その文章を読んでみたかった、もっとたくさんのことを教えて欲しかったと今でも思います。

 カバンに忍ばせて自分を見失いそうになった時に読みたくなる一冊です。
そして今私は生まれ変わるならアラスカやグリーンランドなど北極圏に生まれたいと思っています。

いいなと思ったら応援しよう!

ほし きれい 「星野道夫の風景を、この目で見たい」 アラスカへ、星野道夫の地を巡りオーロラを見る旅を目指しています。目標は150万円。もしこの夢に共感していただけたら、ほんの少しのチップで応援してもらえるとあなたからの小さな一歩は、私にとって “憧れを現実に変える大きな一歩”になります“