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助詞一つ

(8章)

〈1〉

通っている
クリニックでは

順番がくると

待合室の
モニターに
番号が表示され

自動音声で

「◯番の方は
 中待合いでお越しください」

とアナウンスされる。

聞くたびに
違和感。

正しくは、

「中待合いにお越しください」

または

「中待合いでお待ちください」

ではないか。

モヤモヤするし

イライラもする

器の小ささ。

〈2〉

私は

学生時代の専門は
英米文学で

卒論は
イギリス文学。

院での専攻は
英語教育で

修士論文は
語彙習得。

学びの専門は
英語畑ではあるが、

仕事の経歴は

元雑誌編集者で
元国語教員である。

いちいち
細かい日本語が
気になって仕方がない。

〈3〉

あるとき
初めて入った美容院で

鏡に飾られたポップに
「髪への栄養補給」
という手書きの文字。

「補」という字が
ころもへんでなく
しめすへんだったので

つい
「チョンがありません」
と指摘してしまう始末。

職業病。

〈4〉

先日も

10代に
「終助詞」ひとつで
ニュアンスが
変わるのだと
あれこれ
言ってしまい

細かいことに
激しくうるさいオバサン
認定

永久追放決定?

〈5〉

それ以前に
「オバサン構文」だの
「マルハラ」だので
若い人を
無意識に威圧しているのに
その上なお

である。

反省した。

さすがに反省した。

細かいことを
いちいち気にする自分に
呆れて
クチもききたくない。

〈6〉

最近、
整水器が壊れた。

メーカーに問い合わせると
もう修理できない、
カートリッジは
返品もできず、
どうしようもない
という答え。

しかし、
未使用のカートリッジがある。

1万円以上するものである。

このまま捨てるのはしのびない。
誰かに使ってもらいたい。

教職員生協を通して購入したので
知り合いの先生方に連絡する。

かなり多くの方が
お持ちだが、
機種が異なると、
カートリッジも異なる。

なかなか
同じ機種の方が
いない。

〈7〉

15人に連絡したが
いまのところ
まだいない。

私は
その15人に
ひとりひとり
連絡するにあたり
日本語を間違えた。

最初の数人に

「差し上げたい」

と言ってしまっていた。

途中で気づき、

「お譲りしたい」に変えた。

あああああ。
なんと失礼な言い方!

おまえは何様か!

〈8〉

漢字にも
動詞にも
敏感で

一文字を気にする
"助詞力"も
いいけれど

上げるべきは
"女子力"?

いらーん

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