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井上陽水『少年時代』歌詞を考察

 ♪ 思い出のあとさき
……といえば、井上陽水さんの『少年時代』

 ♪ 夢はやがて 思い出のあとさき

 意味が分かるようで、具体的には分からない。
雰囲気を味わうのが、陽水流。


 少年時代をモチーフにし、憧れや理想が夢だとしたら、目標までのスタートからゴールを指しているのかもしれない。
 そこで『少年時代』の歌詞の意味を考察した。
 

【Aメロ】

夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれにさまよう
青空に残された 私の心は夏模様

 Aメロは少年時代を振り返っている。
歌詞は時間の流れを季節に重ねて、人の一生を詩的に表現していると解釈できる。
 
春→幼年期
夏→少年期
秋→青年・壮年期
冬→老年期

【Bメロ】

夢が覚め 夜の中
永い冬が窓を閉じて
呼びかけたままで
夢はつまり 想い出のあとさき

 上記をBメロに当てはめると、自ずと意味が通じてしまう。

「夢が覚め 夜の中」

少年時代の夢のような日々が終わり、
現実の夜の中にいる状態。

「永い冬が窓を閉じて」

老年期に入り、
人生の終わりに差し掛かっている様子。

「呼びかけたままで」

少年時代に抱いた夢や憧れは、
叶えられなかったり、
そのまま心の中にしまわれたりして、
現実にはならなかったことを示唆している。

「夢はつまり 想い出のあとさき」

夢というのは過去の思い出から生まれ、
その後の人生を形成していくもの。


 
 もう一つの解釈。

 わたし、中年だから気づいたの。

 Aメロを過去の記憶の延長線として読むと、
歌詞の景色が少し違って見えてくる。

 「夏が過ぎ 風あざみ」では、
キラキラした少年時代の記憶が切り取られる。
 少年時代は夢のようにまぶしいけれど、もう二度と戻らない時間。
だから『青空に残された 私の心は夏模様』と、
心だけがあの夏に取り残されている様子。

 Bメロに進むと『夢が覚め 夜の中』とある。
ここでは夢を見ていた少年時代が終わり、
現実の夜=大人の時間に立たされている。

「永い冬が窓を閉じて」

やがて老年を迎え、
心の窓が少しずつ閉じられていくイメージね。
死に際でもいいや。

 そのときに
『呼びかけたままで』残るのは、
少年の日に抱いた憧れや記憶。
叶えられなかった夢もいつかの光景も、
心の中で呼びかけ続けている。未練かな。

 最後の一行
『夢はつまり 想い出のあとさき』は、
記憶が老年期のいま呼び起こされて、
人生を前後から照らし出す……
という橋渡しのフレーズ。

 この解釈だと、陽水さんの歌詞は
「少年時代を懐かしむ歌」ではなく、
「老年から振り返って、記憶をつなぐ歌」に見えてくる。

 『少年時代』は、
若い頃に聴くと懐かしさの歌に聞こえるけど、
年を重ねて聴くと、人生の四季を振り返る歌へと姿を変える。

 同じ歌詞なのに、
聴き手の年齢によって解釈が変わる。
陽水さんの言葉は
【思い出のあとさき】を
生き続ける理由なのかもしれない。

 陽水さんは、詩的な言葉を使う上級者だなだと思ってしまう。天才ですよ。

©️ ももまろうめこ 2025.09.12


【歌詞引用】 少年時代
作詞:井上陽水、作曲:井上陽水・平井夏美

#小牧幸助さん
#シロクマ文芸部
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