Photo by
hidemaro2005
ショート: 自分さえ良ければいいのね
音は『となりのトトロ』を観ていたとき。畳に掻いた胡座へ地響きが伝わった。
落雷のような、秒で終わった地震のような、トトロがジャンプした錯覚のような。
盆休み、東京から帰ってきた伯父さんがスマホを検索したかと思えば、母さんから車の鍵を引ったくり出て行った。
そのまま無断欠勤で姿を消し、捜索願も虚しく、七年が過ぎた。
私は大学生になり、原宿でバイトしているとき、日サロでこんがり焼けた成金肌をし、白いスーツが下品に見えるオッサンが同類の若い女を侍らせ来店した。
見るからにパパ活で、「うちの店に来ないで」
オッサンを渋い顔で睨み、目が合った。
オッサンじゃない、伯父さんだ。
「伯父さん、なにやってるの!」
目を見開くオジサンの目尻に皺が寄る。
「あの時、隕石拾って、金にしたんよ」
「……分かった」とでも言うか。
伯父さんから引責の言葉を聞かなかった。
