Photo by
hidemaro2005
最後の一枚を残して
花びらを「好き」「嫌い」とちぎっていく。
それは誰を想定して占っているのか、聞けずにいた小学生の頃。
子ども心に、デリケートな話題は触れない不文律を持っていた。
家族が好き嫌いなのか、先生なのか。
ひょっとして、お友達だったら……。
まだ、誰かを好きになる心情が芽生えなかった。
幼なじみが花びらを摘む指先を凝視する。
足元に落ちた花びらが踏まれて、音を立てなかった。私はアスファルトに張り付いた、それを振り返って見ていた。
きれいなものほど、消えてゆく。
大人になり、花びらをちぎってみたことがある。好き、嫌い。好き……,。
最後の一枚を残してやめた。
そんなに悩むなら、やめればいい。
相手が私を好きか、嫌いか。
好きかどうかは相手ではなく、私の問題だった。
曖昧なら要らない。
不要な荷物同然で、旅は身軽がいい。
旅先で調達するように、また誰かと出会えば、不自由はなかった。
そんな、花びら時代もあったよな。
きれいなものほど早く消えていった。
