テクニックで心は繋がらない
努力の方向性を間違うと、物事は短命に終わりやすいように思う。
分かりやすい例えだと、ダイエットを始めるのに、断食をすると、すぐに過食へ走るような。
目標を達成する前に綿密な計画や筋道を組んだ小さな課題を乗り越え、時々、方向が誤ってないかの確認も必要だと思う。
恋愛も同じことで、小手先のテクニックや恋愛指南で成就しない、または短命で散ってしまう。
朝から話すことではない、繊細なエピソードが浮かんできた。
学生時代の友人、栄子とはわたしが卒業するまで同じ授業に出たときは隣同士に座った。
周囲からも仲が良いと認識されていたが、
栄子とわたしは恋愛の話を一切しなかった。
ギャルサーやサーファーのような出立の栄子は、小動物のようなキュートさを持ち、モテていたのは知っていた。
ただ、交際遍歴が多過ぎた。
そして、なぜか栄子の恋は振られて終わる。
2年の秋だったと思う。
同じ専攻の友人3人と授業が終わって、マックへ出かけた。
大体、マックが溜まり場で、それぞれが小腹を満たしてバイトに行く。
その日は栄子の親友、美意子がいた。
「また栄子は別の人と付き合い始めたんだよ」
美意子が話題を出す。
わたしと椎子は
「栄子、モテるね」へぇ〜と聞いていた。
人がモテるのは、本当にどうでもいい。
「あの子さ、月イチで彼氏が変わるんだけど、カレンダーみたいね」美意子のひと言に笑ったが
「栄子の努力は狂ってる」に、わたしと椎子は首を傾げた。
「栄子ってさ、AV観ながら女磨きしてるんだって」
どーゆー意味?
「AV観ながら、日夜、バナナで練習してるのに、振られるんだね」
マックで出されたら窒息レベルの破壊力よ。
もう、美意子、天才だろ。
栄子、切ないけど愛されキャラ決定!
でも、その言葉で、なぜ栄子はモテるのに振られるのか分かった気がした。
身体を尽くしても、心は繋がらないことがあるって話。寝技は恋愛の切り札にならないんですわ。
栄子のように「上手ければ愛される」「飽きられない」って思っちゃうのは女の子らしい。
でも実際の恋愛って、それだけじゃ成立しない。
というか、
寝技が先に来る恋って、最初から心の深度が浅いケースが多い。
彼女が研究したのは「テクニック」、
彼らが欲しかったのは「安心感」かもしれない。
男の子たちは、自分を好きでいてくれる安心感や自分をちゃんと見てくれる目。一緒にいて落ち着く空気感みたいな技術じゃ作れないもの求めてたのかもしれない。
モテる人は選ばれやすく、飽きられやすい面もある。魅力的で目立つタイプだったなら、
付き合うまでは「よっしゃ」なんだけど、
付き合ったあと「意外としっくりこない……」ってなりやすい。
栄子は自分が選ぶ恋じゃなく選ばれたから応える恋をしてたのかもしれない。
それだと、どこかで自分の感情を置き去りにして、男の子からは何をしても心が満たされない。でも見透かされる気がする。
「こんなんじゃない」って。
そして振られた可能性がある。
栄子は努力してたんだよ。
でも方向が、心の深度じゃなく表層の勝負になっちゃってた。AVの中の技術は、長く愛される土台じゃなかっただけ。
恋は技術じゃ繋がらない。
必要なのは、ちゃんと見つめ合える深さなのだと思う。
