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著…三角みづ紀『錯覚しなければ』

 ふと、深夜にひとりで読み耽りたくなる詩集。

 ⭐️単行本版



 普段は見て見ぬ振りをしている、寂しさや悔しさ。

 困っている人に気づいても「自分には関係ないから」と関わろうとしない冷たさ。

 そんな自分に戸惑って、でもいつしかそんな生活に慣れていく哀しさ。

 これは、そうした様々な感情を湧き上がらせる詩がいくつも載っている本です。

 わたしは特に、『マッチ売りの少女、その後』という作品の、


 皆が少女を殺したのだ
 一度だけでも振り返っていたら
 結末は違ったかもしれないのに

(著…三角みづ紀『錯覚しなければ』単行本版P12から引用)


 という一節にショックを受けました。

 マッチ売りの少女は、ひとりでに死んでいったのではなく、よってたかって皆が殺したのですよね。

 直接的に手を下したわけではなくても。

 皆が殺したのです。

 その無関心によって。

 そうやって見て見ぬ振りをした人たちのうち何人かは、もしかしたら、いつかは見て見ぬ振りをされる側になるかもしれません。

 その時、何人が、かつて自分が見捨てたマッチ売りの少女のことを思い出せるでしょうか?

 …そんなことを想像すればするほど、「困っている人全員を救うのは無理だけど、なるべく助けたいな」という気持ちになってきます。

 手を差し伸べたところで、結果的には大して変わらなかったとしても、何もしなかったのとそうでないのとでは、心のざらつき方が全然違いますから…。



 〈こういう方におすすめ〉
 負の感情も含めて、様々な気持ちを揺さぶる詩集をお探しの方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間くらい。

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