見出し画像

監修…芸術新聞社『美人画ボーダレス』

 美しい女性を描いたイラストを眺めて目の保養が出来るだけでなく、「理想の女性像」の変化についても気づかせてくれる本。


 ⭐️単行本版


 古今東西、「美人画」というものは多くの画家たちによって描かれてきたテーマです。

 わたしの勝手なイメージかもしれませんが、かつては男性にとって都合の良い女性像が「理想」とされてきたように思います。

 良く言えばおとなしい、悪く言えば自分の意見を持たずに男性の言うことにただひたすら従う女性。

 しかし、少なくとも、この本に掲載されているイラストの女性たちには強さがあります。

 桜の精のように幻想的であったり、無垢な少女であったり、水妖を彷彿とさせる艶かしさを漂わせていたりと、その姿は様々ですが、どの女性も誰かに質問されたら自分の意見を率直に述べそうな凛としたオーラを感じさせます。

 特に、クリエイターさんたちのうち、オードリー川﨑さんがおっしゃっていることにわたしは感銘を受けました。

 それは、

 (中略)文化やメディア、家族や友人は、あなたにこうなりなさい、こう振る舞いなさい、こう見なさい、考えなさいと言います。そこで自己とアイデンティティを見つけようとするのはチャレンジと言えます。
 今、私が描いている女性たちは、自分自身に納得しています。彼女たちは自分の欠点と弱さを許容しています。過去に選んだ選択肢に満足しています。今の自分を受け入れて、完全に自分自身というものを自覚しています。
 そして私は、観る人たちが彼女たちに共感してほしいと願っています。私自身がそうであるように。

(監修…芸術新聞社『美人画ボーダレス』P28から引用)

 という言葉。

 性別問わず、誰かに押し付けられたイメージを剥がして生きていくのは大変ですよね。

 誰かの理想をなぞりたくはないけれど、だからといって、「自分」がどんな人物なのかは自分にも分からない…という方もきっと少なくないはず。

 わたしだってそうです。

 今の自分自身に納得は出来ないし、弱さや欠点を受け入れるのも難しいです。

 後悔だっていっぱい。

 笑えない場面だっていっぱい。

 だから、自分の良いところも悪いところも受け入れて、過去に沢山の選択を経て生き抜いてきたという自負を持っている方ならではの魅力に心惹かれます。

 この本のイラストに描かれた女性たちにはそういう美しさがあります。

 また、わたしはマツオヒロミさんの、

 私の描く女は少し暗い顔をする。そこに古い着物でもってドラマ性を付加する。彼女と画面越しに見つめ合う誰かの心に、届けばいいと思う。

(監修…芸術新聞社『美人画ボーダレス』P57から引用)

 という言葉も好きです。

 無理に笑わなくたっていい、時には暗い顔をする瞬間があっても良いんだ、と許してもらえた気がして。



 〈こういう方におすすめ〉
 目の保養をしたい方。
 美人画を眺めるのが好きな方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間くらい。

いいなと思ったら応援しよう!

G-dark/本好きの頭の中 いつもスキ・フォロー・コメント・サポートをありがとうございます😄 とても嬉しくて、記事投稿の励みになっています✨ 皆さまから頂いた貴重なサポートは、本の購入費用に充てさせていただいています📖