作…ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳…西村醇子『ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔』

 毎日がつまらない。

 来る日も来る日も同じように過ぎ去る。

 このままではダメだと頭では分かっている。

 でも、やりたいことが具体的にあるわけではない…。

 そんな風にモヤモヤしながら働き続けていた主人公・ソフィーが、ある日呪いをかけられて、まだ若いにもかかわらず老婆になってしまうという児童文学。

 ⭐️単行本版


 わたしは、若い時のソフィーも好きだけれど、歳をとったソフィーのことも好きです。

 若い時は、自分の身の上についてあれこれ切なく悩みつつも、どうして良いのか分からず、憂鬱なまま黙々と働き続けてきたソフィー。

 歳をとったら、もう残された時間が少ない分、物事を長々と気にしている場合じゃなくなって、何が起きても笑い飛ばしちゃうくらいの図太さや、「許せない!」と腹を立てる強さを手に入れました。

 若い頃には恥ずかしくて出来なかった大胆な振る舞いだってお手のもの。

 歳をとったソフィーが、ある頭蓋骨を見て、

「あっちは棺桶に両足つっこんだ奴。でもあたしはまだ片方だけ」

(作…ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳…西村醇子『ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔』単行本版P46から引用)


 と言うのも、なんとも愉快です。

 そう、まだ片方だけ。

 生きている限り、まだまだ何だって出来ます。

 また、ページが進むにつれ、ソフィーの彼女自身も気づいていなかった才能が明らかになっていくのも楽しいです。

 長生きするのって、あんがい悪くないかも。


 〈こういう方におすすめ〉
 『ハウルの動く城』の原作を読んでみたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 3〜4時間くらい。

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