“だいやめ”で明日への英気を養って!(鹿児島県)|諸国名産お国言葉採集
全国各地の名産品のネーミングから“お国言葉”を“採集”。ピックアップした方言を糸口として、方言学を専門とする東京女子大学の篠崎晃一名誉教授が綴る、軽妙で含蓄に富むエッセイです。「全国各地の逸品×方言」をめぐる、遥かなる旅へといざないます。(ひととき2026年7月号の連載「諸国名産お国言葉採集」より)
【だいやめ(だれやめ)】晩酌
鹿児島・濵田酒造の本格芋焼酎「だいやめ~DAIYAME~」。独自の熟成技法で作られた“香熟芋”を使用することで口の中に甘い香りが広がる。アルコール度数が40度と高めの海外向けブランド「DAIYAME 40(フォーティ)」もあり、こちらは好評につき今年の2月から国内でも販売を開始したそうだ。

だいやめ〜DAIYAME〜 さつまいもにはライチに似た香り成分が含まれているという。独自の熟成法で、この成分を増強・増幅させたのが、原材料となる“香熟芋”。ほかの芋焼酎にはない華やかで甘い香りにうっとり♪(上下写真)

語源は「だれる+止む」。共通語の「だれる」は気持ちが緩んだり緊張を欠いたりすることを表すが、九州では「疲れる」の意で使われる。つまり疲れた状態に終止符を打つのが「晩酌」なのである。酒飲みにはとても心強い方言だ。
九州の居酒屋はもちろん、九州の郷土料理を売りにする飲食店では「だいやめ(だれやめ)セット」がおすすめメニューになっているところも多く、つまみと酒をお得に味わいながら一日の疲れを癒やすことができる。
また、熊本の古い方言には「きつけ」という言い方もあったようだ。古くは「元気づけに飲む酒」を表し、江戸時代の浄瑠璃に「早く帰って二合半の気付をばうんと飲むべい」との一節もみられる。酒量が減ってきた昨今、二合半飲まないと元気が出ないとはちょっと厳しいものがある。
適量の酒は癒やしになっても深酒は始末が悪い。飲みすぎて記憶を無くしたり判断力を失ったりした状態に陥ると東北では「ほうだいない、ほでない、ほでね」などと言われてしまう。この「ほで」は「飲み放題」「言いたい放題」と言う時の「放題」。「~放題」となるとその動作を意のままに任せることを表すが、古くは「放題」が「自由勝手にふるまうこと」を表していた。そこに、「こころもとない、はしたない」などと同じように「~ない」が付いて形容詞「ほうだいない」が生まれたのである。
なお、「ほうだいない」には「バカ者」の意味もあるので、“だいやめ”もほどほどに。
文=篠崎晃一
写真=阿部吉泰
写真提供=濵田酒造(製造写真)

濵田酒造濵田酒造
☎0996-21-5260(お客様相談室)
*見学可能な蔵もあり。詳細はホームページを参照
https://www.hamadasyuzou.co.jp/#
*隔月で公開しています
出典:ひととき2026年7月号
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