【実話】🌸「おたすけ婆さん」の不思議③不幸への投函
「あなたの家は信仰を切っているから、切られるようなことになったのですよ」
その言葉が、トシの心に鋭く突き刺さった。
——何を言っているの、この人は?
トシは首に巻いた包帯を無意識に押さえながら、目の前の婦人をじっと見つめた。
~前話の内容~
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今回は「おたすけ婆さん」、祖母「トシ」の、信仰の元一日をご紹介します🌸
無信仰だったトシが
なぜ「おたすけ婆さん」になったのか。
その、きっかけとなった出来事とは。。
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祖母 トシは明治四十四年、埼玉県の農家に生まれた。
二十歳のとき、蓮見福造の元へ嫁ぎ、新宿・下落合で食堂を営む彼の家族と共に暮らし始めた。
義理の祖母であるリンは熱心な天理教の信仰者だった。
祖母のもとには、よく天理教の布教師たちが訪れていた。
——天理教?
当時のトシにとって、それは自分とはまったく関係のない、
ただの「祖母の信仰」だった。

しかし、
昭和八年、リンが他界すると、家庭の雰囲気は一変した。
信仰を受け継ぐどころか、義理の両親は天理教を毛嫌いし、祖母を訪ねて来ていた行田の忍町分教会へ
「もう訪ねてこないでほしい。」
と書かれた、絶縁の手紙を送ったのだ。
トシは、その手紙を投函する役目を担わされた。
——こんな手紙を送ってしまって、本当にいいのだろうか?
ポストに手をかける瞬間。。
胸の奥に違和感がよぎった。。。

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その後、蓮見家には悪いことばかりが続いた。
生まれたばかりの大切な長男・義雄が、
わずか八か月で命を落とした。。。
食堂の経営も傾き、
夫の福造は職を変え、
家族は大田区馬込へ引っ越した。
トシ自身も次第に体調を崩し、
喘息を患うようになった。。。
さらに、
昭和十一年には首のリンパ腺が腫れ、
トシは手術を受けることになった。
——結婚する前は、風邪ひとつ引かなかったのに……。

無事、手術は成功し、
回復に向かっていたが、
術後の通院の帰り道で。。。
あの 婦人に声をかけられたのだった。
「私は天理教の者ですが、あなたは何か信仰されていますか?」
トシは戸惑いながら答えた。
「主人の祖母が天理教をやっていましたが、亡くなってからは何もしていません。」
すると、
婦人は、まっすぐトシの目を見て言った。
「あなたの家は信仰を切っているから、切られるようなことになったのですよ。」
トシは思わず後ずさりし。。
「父母も主人も天理教を嫌っておりますし、私は嫁ですので何も分かりません。。」
と言って、逃げるように家に帰った。。
——そんなこと、あるはずがない。。。
信仰をやめたから、悪いことが起こる?
そんな因果関係を、信じられるはずがなかった。
しかし、その言葉は、
ポストに絶縁状を投函した時の違和感とともに、
どうしても頭の中から消えてくれなかった——。
(つづく。。)
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