【子どもでも分かる株の勉強】WACCとは?会社がお金を集める「コスト」を考えてみよう
株式投資を勉強していると、
「ROIC」
「WACC」
という2つの言葉がセットで出てくることがあります。
前回の記事では、ROICについて勉強しました。
ROICとは、
「会社が事業に使っているお金を、どれだけ効率よく利益に変えているか」
を見る指標でした。
では、そもそも会社は、その事業に使うお金をどこから集めているのでしょうか?
銀行からお金を借りることもあります。
株主からお金を集めることもあります。
つまり会社がお金を使って事業をするためには、
「お金を集めるためのコスト」
が発生します。
そのコストを考えるときに登場するのが、
「WACC」
です。
今回はWACCについて、できるだけ簡単に解説していきます。
WACCとは?
WACCは、
「Weighted Average Cost of Capital」
の略です。
日本語では、
「加重平均資本コスト」
と呼ばれます。
名前だけ見ると、かなり難しそうですよね。
でも、ざっくり言えば、
「会社がお金を集めるために、平均してどれくらいのコストがかかっているのか」
を見る数字です。
ここがWACCの一番大切なポイントです。
お金を集めるにもお金がかかる
例えば、あなたがパン屋さんを始めるとします。
お店を作るために、
1,000万円
必要になりました。
でも、自分のお金だけでは足りません。
そこで、
銀行から500万円借りる
株主から500万円集める
ことにしました。
銀行から借りた500万円には、利息を払わなければいけません。
例えば年間5%なら、
500万円 × 5%
=25万円
です。
つまり、銀行からお金を借りるために年間25万円のコストが発生します。
では、株主から集めた500万円は無料なのでしょうか?
実は、そうとも言えません。
株主は、
「この会社にお金を出すからには、それに見合った利益を期待したい」
と考えます。
株主から見れば、
「この会社に投資する代わりに、どれくらいのリターンが期待できるのか」
が重要になります。
このように、
銀行から借りるお金にもコストがある。
株主から集めるお金にもコストがある。
ということです。
WACCは「お金の平均的な値段」
会社がお金を集める方法は、大きく考えると、
「借金」
と
「株主からのお金」
があります。
そして、それぞれにコストがあります。
例えば、
借金のコスト:4%
株主資本のコスト:8%
だったとします。
会社が、
借金50%
株主資本50%
でお金を集めているなら、単純化すると、
4% × 50%
+
8% × 50%
=6%
となります。
このように、
「会社がお金を集める方法と、それぞれの割合を考えて、平均的なコストを計算したもの」
がWACCです。
実際の計算では税金なども考慮するため、もっと複雑になります。
ただ、最初は、
「会社がお金を集めるための平均的なコスト」
と覚えておけば十分です。
ROICとWACCはセットで考える
ここで、前回勉強したROICが登場します。
ROICは、
「事業に使ったお金から、どれくらい利益を生み出したか」
を見る指標でした。
一方、WACCは、
「そのお金を集めるために、どれくらいのコストがかかっているか」
を見る指標です。
つまり、
ROIC
=お金を使って、どれくらい稼いだ?
WACC
=そのお金を集めるのに、どれくらいコストがかかった?
という関係です。
この2つを比較することで、
「会社が資金を効率よく使えているのか」
を考えることができます。
ROICがWACCを上回っているとどうなる?
例えば、
ROIC:10%
WACC:6%
だったとします。
会社は、平均6%程度のコストで集めたお金を使って、
10%の利益を生み出しています。
単純化すると、
10% − 6%
=4%
の差があります。
このような状態なら、
「資金を集めるコスト以上の利益を生み出している」
と考えることができます。
企業が事業を行うことで、企業価値を高めている可能性があります。
逆にROICがWACCを下回ったら?
では、
ROIC:4%
WACC:6%
だったらどうでしょうか?
会社は6%程度のコストをかけてお金を集めています。
しかし、そのお金を事業に使っても4%程度しか利益を生み出せていません。
単純化すると、
4% − 6%
=-2%
です。
もちろん実際の企業分析はもっと複雑ですが、
「お金を集めるコストより、事業から生み出す利益のほうが小さい」
という状態になります。
そのため、
ROIC > WACC
になっているかどうかは、企業分析で重要な考え方になります。
学校のテストで考えてみよう
WACCをもっと簡単に考えてみましょう。
100点満点のテストで、
「80点取れば合格」
と言われているとします。
あなたの点数が、
90点
なら合格です。
しかし、
60点
なら不合格です。
これと似たような考え方で、
ROICがWACCを上回っている
↓
資金を集めるコスト以上に利益を生み出している
ROICがWACCを下回っている
↓
資金を集めるコストほど利益を生み出せていない
と考えることができます。
もちろん企業分析では単純な合格・不合格ではありません。
でも、
「ROICとWACCを比べる」
という考え方を理解するには、このイメージが分かりやすいと思います。
WACCが低ければいい会社?
ここも注意が必要です。
「WACCが低い会社だから良い会社」
とは限りません。
例えば、
A社
WACC:4%
ROIC:5%
B社
WACC:7%
ROIC:15%
だったとします。
WACCだけを見るとA社のほうが低くて良さそうに見えます。
しかし、
A社は5%の利益
B社は15%の利益
を生み出しています。
さらに、
A社:ROIC 5% − WACC 4% =1%
B社:ROIC 15% − WACC 7% =8%
となります。
このように、
WACC単独ではなく、
ROICとの関係を見る
ことが重要です。
WACCはなぜ会社によって違う?
会社によって、WACCは異なります。
その理由の一つが、
「どれくらいリスクがある会社なのか」
です。
例えば、安定した事業を行っていて業績の変動が小さい会社と、業績が大きく変動する会社では、投資家から見たリスクが違います。
リスクが高ければ、
「その会社に投資するなら、それに見合ったリターンが欲しい」
と考える投資家が増えます。
その結果、株主資本のコストも高くなる可能性があります。
また、借金の金利も会社の信用力などによって変わります。
つまり、
会社の安定性
事業のリスク
借金の量
株価
金利
など、さまざまな要素が関係してWACCが決まります。
借金が多い会社はWACCが高い?
「借金が多い会社=WACCが高い」
と単純には言えません。
借金には利息というコストがあります。
一方で、借金には税金面でのメリットがあるため、WACCの計算では税金の影響も考慮されます。
また、借金が多すぎると、
「この会社、本当に借金を返せるの?」
と金融機関や投資家から見られる可能性があります。
そのため、借金の量だけではなく、
利益をどれくらい生み出しているか
キャッシュフローはどうか
自己資本比率はどうか
有利子負債はどれくらいあるか
などを一緒に確認することが大切です。
WACCを見るときは「数字の意味」を理解しよう
WACCは企業分析で非常に便利な考え方ですが、数字を見ればすべて分かるわけではありません。
例えば、
WACC:5%
という数字だけを見ても、
「良い」
「悪い」
とは判断できません。
大切なのは、
ROIC:10%
WACC:5%
なのか、
ROIC:4%
WACC:5%
なのかという関係です。
つまり、
「WACCは何%なのか?」
だけではなく、
「ROICと比べてどうなのか?」
を見ることが重要です。
ROIC・WACC・企業価値
ROICとWACCの関係をさらに勉強していくと、
「企業価値」
という考え方につながっていきます。
会社が、
集めたお金を使って、
そのお金を集めるコスト以上の利益を生み出す。
これを長期的に続けることができれば、
「この会社は資本を上手に使って成長している」
と考えられます。
逆に、
お金を集めるコストよりも利益を生み出せない状態が続けば、
「せっかく集めたお金を十分に活用できていない」
可能性があります。
だからこそ、ROICとWACCの関係は、企業価値を考えるうえでも重要なのです。
今日のまとめ
WACCとは、
「会社がお金を集めるために必要な平均的なコスト」
です。
会社は、
銀行からお金を借りたり、
株主からお金を集めたりして、
事業を行っています。
そして、どちらのお金にもコストがあります。
その平均的なコストを考えるのがWACCです。
そして、前回勉強したROICとセットで考えると、
ROIC
=集めたお金を使って、どれくらい利益を生み出した?
WACC
=そのお金を集めるのに、どれくらいコストがかかった?
となります。
特に覚えておきたいのが、
ROIC > WACC
という関係です。
この状態なら、
「資金を集めるコスト以上に、事業から利益を生み出している」
と考えることができます。
ただし、ROICやWACCだけで企業の良し悪しを判断することはできません。
売上
営業利益
営業利益率
ROE
ROA
自己資本比率
有利子負債
フリーキャッシュフロー
など、これまで勉強してきた数字と組み合わせて見ることが大切です。
一つの数字だけを見るのではなく、
「この数字と、この数字はどうつながっているんだろう?」
と考える。
それが企業分析を少しずつ面白くしてくれます。
今回のWACCは少し難しい指標でしたが、
「会社がお金を集めるにもコストがかかる」
と覚えておけば大丈夫です。
ROICとWACC。
この2つをセットで見ることで、
「この会社は、集めたお金を上手に使っているのかな?」
という視点から企業を見ることができるようになります。
#株式投資 #投資初心者 #株初心者 #株の勉強 #子どもでも分かる株の勉強 #WACC #加重平均資本コスト #ROIC #ROE #ROA #企業価値 #企業分析 #決算分析 #ファンダメンタルズ #日本株 #資産運用 #投資知識 #本間のめも帳
いいなと思ったら応援しよう!
いつもありがとうございます!
「記事が気に入ったよ」
「これからも頑張ってね」
そんなお気持ちをチップで応援していただけると、とても励みになります。
いただいた応援は、新しい記事づくりの力になります。
この記事は noteマネー にピックアップされました

