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ChatGPTの生みの親が、AIを締め出すSNSを開発中している件


ネットはすでに「死んでいる」かもしれない

2025年9月、OpenAIのCEOサム・アルトマンはこんな投稿をしました。

「今のSNSには本当にたくさんのAIが運営するアカウントがあるようだ」と。

これはかつて陰謀論扱いされていた「死んだインターネット理論」、つまり「ネット上のコンテンツの大半はすでにボットが作っている」という仮説が、現実になりつつあることを示しています。

実際、2026年2月にWIREDが報じたデータは衝撃的です。ウェブサイトへのアクセスのうち、31回に1回がAIボットによるものであることが判明しました。わずか9ヶ月前は200回に1回だったので、6倍以上に急増したことになります。さらに「ボット立入禁止」を示すルールを無視してサイトに侵入するAIボットの数は、同じ期間で400%増加しています。

要するに今のインターネットは、私たち人間がアクセスするだけでなく、AIが自動的に大量にアクセスし、情報を収集し、コンテンツを生成し、アカウントを操作する場所になりつつあります。そしてその動きは、私たちが気づかないうちに急速に進んでいます。


なぜ「人間証明」が必要なのか

インターネットには根本的な設計上の欠陥があります。「本物の人間だと確認する仕組み」が存在しないのです。

一人の人間が100のアカウントを作ることも、1000のボットを放つことも、技術的に止められません。

そして今のAIエージェントは、自然な文章で会話し、フォローやいいねをし、普通の人間と見分けがつかないレベルで動いているとのことです。

問題はSNSのボット被害だけではありません。

Microsoftが報告したように、ロシアの影響工作はAI生成の超リアルな動画でウクライナ人の徴兵を妨害しており、「AIで作られたと分かっていても信じてしまう」という調査結果まで出ています。


世界の研究機関が動き出した

この危機に対応するため、2024年にMIT・OpenAI・Microsoft・Harvardなど32名の研究者が共同で「Personhood Credentials(人間であることの証明書)」という概念を提唱しました。

核心はシンプルで、「あなたが何者かを明かさずに、本物の唯一の人間であることだけを証明する」仕組みです。

従来の本人確認(KYC)が「あなたは誰ですか?」と問うのに対し、これは「あなたは本物の人間ですか?」だけを問い、名前も住所も不要です。


サム・アルトマンが仕掛ける「虹彩スキャン」の野望

この問題に対して最もスケールの大きな解決策を打ち出しているのが、ChatGPTを作ったOpenAIのCEO、サム・アルトマンが別途立ち上げた「World(旧Worldcoin)」というプロジェクトです。

仕組みはこうです。まずスマートフォンに「World App」をインストールします。アプリ内で近くのOrb設置場所を調べ、ショッピングモールや商業施設の一角に設置されているバスケットボールほどの大きさの球体型デバイス「Orb」のところへ出向きます。日本では東京・大阪・名古屋・福岡などにすでに設置されています。

なぜわざわざリアルの場所へ行く必要があるかというと、「本物の人間が実際に存在する」ことを確認するためです。スマホだけで完結してしまうと、AIがなりすます余地が生まれてしまいます。生身の人間の目を一度だけスキャンすることで、それを防いでいます。

スキャンが完了するとアプリ上に「World ID」が発行され、以降はネット上のサービスでこのIDを提示するだけで「本物の唯一の人間である」と証明できます。名前も住所も不要です。いわば「目をパスワードにしたデジタル身分証」を、一度だけリアルで取得する仕組みです。

そしてここが面白いのですが、そのアルトマン本人が今度は「人間しか入れないSNS」を作ろうとしています。

2026年1月にForbesが報じたところによると、OpenAIはこのWorld IDの虹彩スキャンや顔認証を使ってボットを完全シャットアウトしたSNSの開発を進めているとのこと。「AIを作った張本人が、AIを締め出す場所を作ろうとしている」という強烈な逆説です。

自分で放ったボットの洪水を、自分で食い止めようとしているとも言えます。


まとめ

AIがボットを量産し、人間がそれを証明しなければならない時代になるとは、10年前には誰も思っていなかったはずです。

インターネットはもともと「繋がるための場所」だったのに、今や「本物かどうかを疑う場所」になりつつある。その変化のスピードが、正直怖いなと感じます。

WorldやMicrosoftが動き出しているのは確かですが、解決策が普及する前に、ボット側がさらに進化する可能性も十分にあります。

これはいたちごっこで、終わりが見えない戦いです。

結局のところ、技術の進化が生んだ問題を、また別の技術で追いかけ続けるしかないのかもしれません。

参考記事
https://www.forbes.com/sites/annatong/2026/01/28/openai-wants-to-create-biometric-social-network-to-kill-xs-bot-problem/


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