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Laboの男86

 Labの男86

貨幣社会では
人間関係を無視して生活が可能なので
いろんな意味で便利だ。関係性を育まず
わざわざ関わらなくても
シンプルに支払いを済ませば終わらせれる。
支払えば欲望を振りかざしてもいい
ってワケではないんだが
逆に人間性を求めたりもする。
コンクリートジャングルに飼い慣らされた
灰色のその発想自体が
都会的なのかも知れない。

かれこれ100年ほど前から
魔法界は、お金が無くても生きてゆける
共同体社会が定着し成立している。
自給自足の城下町の様な
大体がまかなえ暮らせるコミュニティ。
全ては魔法がなんとでも解決してくれる
なんでもありのイメージがあるが
実際のところ万能ではないし
マジカルパワーだけでの生活は難しい。
まどろっこしいのはチョチョイのちょいっと
魔法がなんとかしてくれない。
ちゃんと畑も耕すし肉体労働も存在するし
中には魔法が発動しない者もいる。
我々が想像する様なド派手な魔法は
あるにはあるが、ごく限られた才能ある数人
それほど皆が大魔法使いなワケではない。
それに魔法は、非っ常〜に疲れるのである。
なので直接手を下した方が早いのであれば動くし
何でもかんでもマジカルには片づかない。
大事な時にとっておくのが魔法。
万能であって欲しいがそりゃ〜限界がある。
魔法界のコミュニティは
持ちつ持たれつ精神で他と関わり合うが
競争心はないので他を叩かない。
いい人だらけだけど、よそはよそ社会。
刺激を常用する現代人がもし、暮らすのなら
あまりにも欲望が渦巻かな過ぎて
何が幸せなのかが
シンプルに分からなくなるだろう。
比べることのない日常
平穏な暮らしに
目安となる欲望の誘惑が無いからだ。
漢方薬で有名な
ハマムラ順天堂を創設した
 浜村 順九郎
魔法を持ち込んだのは約150年前
幕末〜維新の激動を横目に
ケ・セラ・セラ
ひょうとひょうと利他的発想の
スローライフでスローピープルを貫き
独自発展独自のコミュニティを形成。
政府からは奇怪な日本語を操る南蛮人扱いを
受けるほど時代の流れから逸脱する。
成果を自身の手柄にしない
平和スローピープルの魔法は
生活ベースの補助魔法開発が大多数を占め
群雄割拠の乱世を渡り歩く攻めた魔法は
今やむかしどこへやら?
新たにエキセントリックな魔法は
穏やかな人々からは生まれるはずもない。

それぞれの得手不手が反映された
やりたいことを続けられる魔法社会。
とはいえ、現代社会的な文化も浸透していて
全く世間と関わりがない
世捨て人生活ってほどのスローライフを
皆が謳歌している訳でも無い。
マジカルコミュニティ全員が
古き風習、ならわしや、しきたり
習慣にしがみ付いて
頑なに暮らしているのではなく
望む者は質素に暮らし
いい意味で他に無関心。
そうではなく、世の中を行き来して
暮らしている魔法界の人々は多い。
超絶魔法を駆使できる
モテはやされた者も限られるし
才能がない者も多数いるのは
現代社会と同じだが
魔法を扱えない者が虐げられるほど
民度が低い訳でもなく
利用されないために
魔法使いである事を隠していること以外
個性にオープンという表現が
近いかもしれない。
時代の移り変わりと共にシンプルな
無印ライフスタイルの人達も
段々と少数派になってきている。
コミュニティがヒトを支える
愛国心というよりは共同体感が強く
所有するという概念が現代人よりもない。
個性での勝敗が肯定された現代の価値観とは違い
競争が生まれなくても
評価経済の影響がさほどなく、安定して
つつましく穏やかな生活が営まれている。
しかしながら所持する発想が希薄であっても
比べれば差は必ず生まれる。
どれほど平等な社会が構築できようとも
裕福さとココロの豊かさは別で
貧富の差は確実に生まれる。
公平さはココロの持ちようで
どうとでもなるが。

現代社会では
それこそ大衆が反感を抱かない、
もしくは皆が気が付かない、
知らぬふりができるシステムさえ作れば
Systemは転がり続ける。
結果、差はいつまで経っても生まれ続け
そこに幸不幸の感情を付与しなければ
小さな不満が大輪の花を咲かさなければ
自己完結にまで導ければ
比べなければのハナシ。

現代的な資本主義マインドの影響が
魔法界にも侵食が進みスローピープルにも
他者を羨む心が少しずつ芽生えつつある。
現代大衆ならではの
それを前進へと転換できない者が生まれ
勝手に差を見つけ出して嘆き悲しむ。
それほどヒマなのだ。
他者のこと、他人の畑のことを
気にしている場合では無いはずなのに
目の前を懸命に瞬間を生きていないのだ。
とはいえ
現代人ほど嫉妬深くは、ないにせよ
どれだけマジカルな利他的人類皆兄弟
共同体感覚マシマシの社会であっても
それだけ現代社会の波が
魔法界へと流れて来ているのだ。



50年前
魔法界に突如として現れた天才
異端児 トマス・タイガーと呼ばれた男

魔法界の血筋ではない一般の出身
 桐島 トマス 虎太郎
動力源を必要としない
記憶の蓄積、エネルギー媒体として
クリスタルを用いて魔法社会を変えた
誰にでも扱うことのできる
魔法と科学の融合を目指した。
魔法学のその先と言われる
結晶化の概念を確立させた。
自然派性でなければ扱うことのできなかった
稀少なクリスタルを一般供給流通させた。
魔法界ではタブー
人道的に外法とされていたクリスタル化
いとも簡単に魔法効果にブーストをかける
ことのできるクリスタル、
その人工精製の成功
前人未到の学識を引き上げた
魔法に革命をもたらした男
利他的発想の魔法学に新たな風を巻き起こした
彼のあまりある才能に誰しもが嫉妬した。

物理学を専攻していた大学時代
友人から魔法は実在することを知らされる。
それは桐島トマス虎太郎が
あまりにも物理現実しか信用しなかったからで
元々魔法概念では
眼に見えないモノを大切にする。
オノレが運命を切り開き勝利を手にする
失敗は自己責任発想ではなく、環境と共に生きる
環境が自身を育ててくれた育んでくれた
そんな信念を持つ友人との
言い争いが発端となる。
キッカケとなったのは
トマス・タイガーが能力主義者だったからだ。
有能な者が世を牽引し
能力者は社会に貢献しなければいけない
義務があるという発想が
友人のカンに触った。
「キミが言う
 能力はヒトの役に立たないと意味がない
 ってのは少々言い過ぎじゃないか?」

トマス「全く撤回するつもりはないね」

「キミは世の中が物理で
 すべて語れると思っているのかい?」

 「話がズレてないかい?
  ボクはダメ人間を引き上げる
  導く義務があると言っているだけだよ?
  何がいけないんだ?
  わざわざ遠回りをする必要がないって
  言ってるだけだぞ」

「ヒトにはそれぞれのステージがある。
 できないヒトは人で
 そのステージで学ばなければいけない
 ナニかがあるからこそ、そこにいる。
 なんでそれすら否定するんだ」

ニガ虫を噛み潰した顔をしてトマス
 「分からないんだったら
  手間になる無駄を省けばいいだけだろう?」

「なんで相手の都合を待ってやれないんだ?
 他者を尊重していないってのには
 気が付かないのか?」

トマスは不敵に笑い
 「もし、そのステージとやらから
  上がれなかったらどうするんだい?」

「それはキミの問題ではないだろう。
 なんで放っておけないんだ?
 そのヒトならではの
 人生を謳歌させてやれないんだ。
 以前のキミはそんな横柄じゃなかったし
 そんな乱暴な口もきかなかった」

 「分かってて、口に出さずに
  傍観するのは卑怯じゃないかい?
  上手くやれば先に進めるというのに」

「それが大きなお世話だと言ってるんだよ。
 自分のペースでの気付きが大事なんだよ!
 もしかするとキミの着眼点じゃない
 キミの発想の着地とは違う結果が
 生まれたのかもしれないのに。
 そんなに他人が信用できないのか?」

ガッカリな顔をさせ友人はため息を吐く。

「豊かさと合理性は別物だよ」

ため息混じりで友人は

「キミがいう底上げってのは
 世界を変えるってことだろう?
 ほんと尊いと思うよ。
 そんな発想を本気で持てる事に」

「世の中が望んでいる
 ってな事を勝手に考えてるんだろ?
 シビれるよ。でもね
 世界ってのは生きものを取り巻く環境。
 環境って所にフォーカスがいくと
 その環境の中にいる
 自分ってのにも無意識に
 フォーカスすることにも繋がる」

なんで分からないんだ?

「自身が想い描く世界ではないことに
 環境を許せなくなってくる。
 そしてヒトにもやさしくなくなる。
 誰も言及しているワケではないのに
 自分のウェイトがどんどん上がっていくのを。
 環境って方向に意識が傾くだけで
 自分がどんどん立ち上がって
 自ずと自意識過剰となってゆく。
 息苦しい世の中が加速する」

「なにか使命めいた事に突き動かされるのは
 悪いとは言っていない。
 その自分ってのは頭の中の自分。
 以前のキミは
 自分なんて枠組みで
 区切ってなかったじゃないか?
 意識的に切り捨てて
 これは自分じゃない!
 なんて言わなかっただろ。
 物理法則にフォーカスを向け過ぎなんだよ。
 尊重するものをどんどん削っていって
 残った【個】を尊重するなんて
 そんなちっぽけなニンゲンなのかい?」

「根っこも枝葉もちょんぎっちゃったら
 尊重するもなにも関係性が個別化
 孤立して別物になるだけだ!」

  キミは僕と一緒に
  過ごした時間のこと
  忘れちゃってるみたいだ。

「これはまだキミには
 話したことはないんだけど……」

友人はトマスの胸のあたりに
手をかざし瞳を閉じて集中している。
何をしているんだと不思議な表情のトマス。
友人は真剣に目を閉じて手をかざしたままだ。
何が何だか分からないトマスは
違和感を察知した。
ひとりでにゆっくりと
足元がふわふわとした感覚
ソワソワして周りを見回しているうちに
足先が地面から離れていく感覚がわかる。
トマスの身体が30cmは浮き上がったところで

「人には話したコトがないんだけど
 ボクは魔法使いなんだ。
 母方が魔女家系で父親は一般人
 大学卒業後は魔法界へ
 里帰りしようと思っている。
 何度も迷ったよ。
 本当のことをキミに話そうかどうか」

あまりにも想定していない話に
感情が先走り
宙を浮いていることも忘れて
 「てっきり
  キミも大学院へ進学するものだと
  なんで言ってくれなかったんだよ?
  ボクらは友だち同士だろ?」

手をかざしままトマスの瞳を仰ぎ見る友人

「関係性を壊したくなかったんだ。
 今のキミを見ていたら尚更だよ。
 それに口外するのはタブー。
 魔法界の人々はひっそり慎ましく
 生きる気質の人達なんだ」

宙に浮いているトマスを降ろして
手をかざすのをやめた。
地面に足がついた事に左右をゆっくり
確かめながらトマス

 「ふぅ〜っボクはそうとう
  どうかしていたんだね」

 「ありがとう、キミの勇気に感謝するよ。
  トンカチで頭を殴られたぐらいの衝撃だ!
  なんだか目が覚めたみたいだよ。
  それほど
  ボクは嫌なヤツになってたんだね。
  キミはいつも嫌ごとを言ってくれるし
  間違いを正そうと本気で思ってくれる。
  ホントすまなかった」

びっくりするくらいまっすぐに
コウベを垂れるトマス。
頭を上げると笑顔で
 「世界は広いなぁ!
  ボクはしっかりと奢っていたよ。
  全て知った気になってたんだな……」

 「ありがとう ボクの友だちでいてくれて」

そう言うと手を差し伸べ握手を求める。

あまりの素直さのトマスに
友人は驚きが隠せないよりも込み上げてくる
喜びで笑顔を浮かべた。
「キミはどうしてそんなに素直なんだろう?
 今までのポリシーはどこに行ったんだよ?
 もう、受け入れてるみたいだし
 本当キミといると退屈しないよ〜」

 「あのさ〜これって魔法なの?
  どっちかっていうと超能力?
  エスパーの類いじゃない?
  僕の印象だとビィーーッて
  なんか出たりしてくれないと
  魔法じゃないんだけど?」

「早速だねぇ、
 魔法使いが魔法だっってるんだから
 魔法なんだよ。疑うのは悪いクセよ。
 まぁ〜いいや。ナニも知らないだろうからね。
 あのね超能力って自力なのよ。
 今の力は、別のところから借りて
 発動してるんだよ。大気に充満している
 龍脈って気の流れがあって………」

「トマスが想像する魔法は
 眼に見えるかどうかだろう?
 それと魔法使いって相手の考えだとか
 分かるんだ。聞こえるっての方が近いかな?
 だからキミがもう受け入れてる
 ってのも分かるんだよ」

 「でもそれじゃ〜やっぱりテレパシーだから
  超能力者じゃないか」

「もぉ〜魔法使いだっってるでしょうよ。
 まぁ、どっちでもいいんだけど。
 思考は独特の周波数を発するんだよ。
 だからその波を受信できるってこと」

 「え?趣味趣向がわかるって事?」

「それもそうだね」

急に慌てふためくトマス
 「うそっ!ボクは変態ではないからね!」

「ナニ言ってるの?
 ああ、お尻よりも胸がデカイ女性が
 好みってことね」

 「言わないで〜ぇ」

「そんなの魔法使いでなくてもすぐ分かるよ!
 態度にすぐ出るじゃん。
 わかりやすいからねトマスはさぁ」

 「乳輪がデカイ女が大好きなのは
  もっと言わないで〜」

流石にそれは知らなかったなぁ。がっ!自爆してやんの。そんな細部の所までは分からんよ。魔法は万能では無いからね。おうoh!

色々とあったが
ガッチリと握手する2人は笑顔で
ナニもなかった様に話すのだった。
その一件があって
決まっていた卒業後の
大学院への進路はスッパリやめて
トマスは友人の住む魔法界へと
なんのためらいもなく留学するのであった。
友人の名は
椿【つばき】ペンドラゴンといった。
かの有名なアーサー王子の父親の血筋
ユーサー・ペンドラゴン
魔女家系出身だった。



夕焼けはもう沈もうとしている。
ヒトの往来はまばら
急行が止まらないさほど開けていない駅前
服飾専門学校の近くに小さな喫茶店がある。
駅前周辺に商売がたきがいない
こじんまりとした純喫茶に大人が4人。
横並びにスーツを着た真面目そうな男女2人
テーブルをまたいで奥
やけに長いヒゲじいさん
その隣に七三分けの伊達男
穏やかにそしてゆるやか〜に
七三分けのダンディー
明智への尋問は続いている。
ヒゲのじいさんは、おかしなことを言い出した。

「君に仕事を頼んでもいいかね?
 探偵なんだよね?」

 「まぁ〜そんなところです」

取り乱したように明智の目の前に座る
職員が口火を切る。

「こんな、どこの馬の骨とも分からない輩に
 どうかしてますよ教頭!
 我々のことも世間に漏らすかも
 しれないんですよ!わかってるんですか?」

「探偵って守秘義務があるんでしょ?
 商売の信用に直結だから
 大丈夫だよ佐野くん」

「ねぇ?」そう言うと明智に目配せをする。
人差し指を向けてヒゲじいさん

「それに彼は素直じゃよ。現代人の割には
 自分に正直に生きてる方じゃ。
 最近では珍しい
 話すヒトの瞳をまっすぐ見るタイプ、
 自分に疑いがなく
 自身を晒けだすことに
 戸惑いがない人種じゃよ」

「我々のおかしな話を聞いても
 動じない度胸も好印象
 呑み込む器量もありそうだ。
 我々魔法界の知識はあるようじゃし
 今のところ彼の思考からは危険な思想は
 感じられないから、大丈夫じゃろ」

ファンキーひげじいは
腕を広げて1人ずつに手の平で
2人の職員に話しかけるように

「関係者じゃない方が見えることもあるし
 プレーンな判断ができる。
 それに依頼対象は
 恐ろしくカンの冴えた人物、
 なので用心に越したことはない。
 我が校の信頼にも関わってくるからな、
 プロに仕事を任せた方がいいじゃろ」

ネクタイ寸にまで伸びたヒゲをなで撫で
腰を入れ直して席に座り
まっすぐ明智に身体を向けた。

「プロフェッショナルとしての
 仕事の話となると意味合いが違ってくる。
 契約だとかのルールは魔法と同じだ。
 約束はヒトをさらに誠実にする。
 ヒトに応じて変わらない
 君のポリシーは信用に値すると
 私は思うんだけどね〜ぇ。
 職員はそうではないみたいじゃが
 私個人として仕事を依頼したい」

モードdeヒューマン学園では
半数が一般人生徒
残りが魔法使い見習いだ。
我が校は基本的に服飾デザイン学校。
どちらかと言うと魔法界の中では
比較的オープンな校風だろう。

「少し気になる教師がいてね……」

明智としては仕事の方が話が早い。

「ある教師の調査を依頼したい」

新たなミッションを受注される明智
 「それは断ってもいいんですか?
  と、言いたいところですけど
  面白そうなんで受けましょう。
  それはいいんですけど
  見返りはなんなんですかね?」

「そうだなぁ〜魔法界への出入り自由ってのは
 どうじゃろう?
 魔法界の烙印を押してもらわんと
 いけないがな」

 「烙印?それって
  魔族に属するってことですか?」

「ちょいちょい!魔物みたいな言いかた!
 もっとファンシーに
 夢と希望混じりのマジカルよりに
 言ってほしいねぇ。烙印といっても
 あくまで入館許可証みたいなモノだ。
 普通には見えない手首の烙印」

ヒゲを撫でた流れで
両手をテーブルの上で組む
「お金出しても手に入らない貴重なモノだ」

明智の目の前に座る職員2人とも立ち上がって
両手を広げて男性職員
 「それは流石にダメですよ!教頭ぉ!」
明智を横目にチラチラ女性職員
 「そうですよ!
  とても献身的な人間には見えません。
  こんなプレイボーイな
  風貌な輩はダメです」

明智は頭を傾け上を見て
カップに手を伸ばしコーヒーをふくむ。
なんだかなぁ〜って表情の明智は
カップを置いてそのまま
ヒゲじい教頭に視線を移す。
すると
職員の言っていることなんて意に介さず
なんてことない顔でヒゲじい
 「宗教の入信ってわけではない。
  そんな信念の話をしているんじゃなくて
  非物質的パスポート位になもんじゃな。
  別にその烙印で裏切り者を呪い殺したりは
  しないし、その烙印じゃできないよ」

口を片方に引き上げて明智
「魔女のお近づきになれるんですよね?」

 「それくらいの感覚でいい
  禍々しいモノではない。
  安心しろ、だっははは」

明智は言葉とは裏腹、ヒゲじいの感情のゆらぎ
思考周波数のフォーカスをゆるめていない。
おそらくはウソは付いてない。
そして気持ちが良いくらいまっすぐな
言葉の波調も終始安定していた。
烙印とは良い印象は持てないが
参ったねぇ、面白そうじゃないの。

「今後、魔法界を行き来できるのは便利だ」

さて、はて、こっちはなんとかなりそうだ。
万次郎の方はどうだろうか?

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